もう一度逢うその日まで(澄谷)

目が覚めた。
雨の音も、マネージャーの泣き声も聞こえない。
代わりにエンジンの音が耳に入る。

澄谷『・・・』

どうやらここはバスの車内のようだった。
駅前から乗ってすぐに寝てしまったらしい。
甲子園、拓哉は出場しなかった。
いや、《できなかった》と形容するのが正解だろう。

『お待たせしました、次は・・・』

聞き覚えのある停留所の名前がアナウンスされ、反射的に降車ボタンを押す。
数分経ってバスは停車し、ブザーの音と共にドアが開いた。
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