夏が終わって(なつき)
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Natsuki Fujino
ユリ、帰還
考えられる理由は一つしか無い。
おそらく、実家絡みだ。
そして昨日、私以外に事情を知っている人物・・・校長に呼び出された。
内容は私の予想した通りだった。
誤魔化すのも限度がある。
何とかして説得してほしい。
みわ『何か聞いてる?』
なつき『体調不良としか・・・』
みわ『そう・・・なっちゃん、アタシが今から話す事は』
なつき『分かってる。誰にも言わない』
そして今日、オカマ店長から店に来てほしいとメールがあった。
ユリの事なのは間違いない。
野球部を晴山に任せ、店へと向かった。
酒ではなく、烏龍茶を飲んでいるのもそれが理由だ。
みわ『実はね、この前来たお客さん達なんだけど・・・』
なつき『トラブル、とか?』
以前、店で遭遇した変な6人兄弟を思い出した。
ああいう単純な連中ならともかく、一筋縄ではいかない人間も多い。
例えば、ウチの教頭みたいなのとか。
みわ『うーん、直接って訳じゃないんだけど・・・前に何かあったかもしれないわね』
なつき『えっと・・・誰が来てたか、聞いても良い?』
みわ『・・・なっちゃん』
一度、頷いた。
貸切状態の店内に緊張が走る。
みわ『・・・』
なつき『・・・』
いよいよ、来るべき時が来たのかもしれない。
軽く、深呼吸をする。
みわ『女子リーグの娘が・・・2人いたわね』
なつき『女子リーグ?』
みわ『なっちゃんのお友達じゃなかったわ』
なつき『・・・そうか』
遥ではないらしい。
少しだけ、胸を撫で下ろした。
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