夏が終わって(なつき)

それからしばらく経ってからの事だった。

ユリ『あ~・・・』
なつき『いやはや・・・』

私の手には写真週刊誌。
開かれているページには《キャットハンズ新人女子選手、先輩選手と秘密のニャンニャン》と洒落にもなっていない見出しが踊っている。
ご丁寧に肉球のイラスト付きだ。
新人女子選手とは言うまでもなく、女子リーグ出身の萱島樟葉。
これまでに5勝をあげていたが、少し前に調子を崩し現在は登録を抹消されている。
どうやら最近は、二軍でも投げていなかったらしい。

ユリ『・・・』
なつき『・・・』

そして、男の方は・・・栗橋渡。
先日、シーズン10本目のホームランを打ったと記憶している。

ユリ『もしかしたら・・・とは思っていたんですけど』
なつき『・・・そうか』

去年、バスターズを自由契約になりキャットハンズに入団。
長打を期待できる選手が少ないというチーム事情も味方して、左の代打や時にはスタメンとして器用される事もある。
そして、二人とも(連絡先こそ知らないものの)顔見知りでもあった。

少し前に、みずきさんから二人について何も言わないよう連絡があったのはこういう事だったのか。
遥からも慌てた様子で電話があったが、イマイチ要領を得ていなかった為に何を言いたいのかよく解らなかった。
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