『あーっと！また外れたぁ！！』

店内のテレビでは、ストラックアウトをやっていた。

『エントリーナンバー４番、十六夜瑠菜(いざよいるな)まさかのゼロ枚ィィィ！！』
菊川『わざとか・・・』

間違いない。
その証拠に、最後の一球を除く全てが枠に当たっていた。
最後の一球は、９番に命中するかと思われた球がガクッと沈んだ。

菊川『あのコントロールにあの変化球・・・』

水色の髪の女の子がペコリとお辞儀をして退場する。
わざと当てなかった事が、逆に凄味を感じさせた。

菊川『末恐ろしいな・・・』
『優勝は・・・エントリーナンバー５番、佐菜あゆみぃぃぃ！！』

『わーーーい、やったでぇす！』と聞いてるこっちが脱力しそうな声で喜ぶ高校生位の女の子。
『１番いくでぇす』⇒３番、『７番狙うでぇす』⇒８番９番
と、何故か宣言した番号とは違う箇所に命中させていた。

菊川『環境次第で大化けしそうだけど・・・』

何となくだが、あまり練習熱心ではないように見える。
左のアンダーから繰り出される球は宣言した番号とは違う番号に命中したかと思えば、とんでもない大暴投になったりもしていた。
最後の一球で２枚抜きを達成し、見事に逆転優勝を決めている。
運も実力の内・・・なのだろうか？
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