cyan(菊川)

鈴原『気にしないで下さいデス』
菊川『・・・』

鈴原が語った話を要約すると以下の通りだ。
短大卒業後、商社に勤め始める。
中堅だが、健全で良い会社だったらしい。

しかし、数年前に両親が他界。
妹は既に結婚している為、実家の薬局を継げるのは自分しかいないと考え会社を辞める決意をする。
一緒に働いてきた同僚や、上司に説得されるも自身の決意は固く退社。
知り合いを頼りしばらく勉強し、現在に至るらしい。

鈴原『もう一本飲みマスか?』
菊川『・・・いや、大丈夫』

革張りの椅子に座ったまま答える。
鈴原の『気にしないで下さいデス』は、両親が亡くなっていた事についてだろう。
確かに会社を辞めなくてはならなかった件といい気の毒だが、オレが気になるのはその理由だ。
両親が二人同時、というのは病気ではなくおそらく事故だろう。
何となく嫌な予感を抱えつつ、鈴原に聞いてみた。


・・そして、予感は的中した。
《例の事故》に巻き込まれたらしい。
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