cyan(菊川)

??『ワタルは・・・私がお腹を痛めた、たった一人の息子です』

愛おしそうにお腹をさすっている。
自販機コーナー近くのベンチに場所を移していた。

??『すごく不安だったけど・・・あの子が私を選んでくれたのに、裏切っちゃいけないって』

紙コップに入った烏龍茶を少しずつ飲む。
リーダー、古河孝子(ふるかわたかこ)の本名は栗橋優亜(くりはしゆあ)というらしい。

優亜『あの子が高校に入ってからは、私は住み込みで働くようになりました』
菊川『確か、温泉で働いてるって・・・コンパニオン?』
優亜『違います~。仲居さんですよ』
菊川『ふーん・・・コンパニオンなら一度指名しようと思ったのに』
優亜『・・・尚志君のエッチ』

リーダーは普段、温泉旅館に住み込みで働いているらしい。
詳しい場所は知らないが、時々まとまった休暇を貰いこちらに戻ってくる。

菊川『エッチって・・・』
優亜『・・・だって、お触りしたりとかあるじゃないですか』
菊川『そうなんだ?』
優亜『そうですよ~。尚志君若いから、それだけじゃ我慢できなくなっちゃいますよ?』
菊川『じゃあ、その時はお願い』

リーダーが不在の時は、サブリーダー的な役割の藍美が班のまとめ役となっている。
むしろ、不在の時の方が多い。

優亜『も~、サラッと言わないで下さい。わっちゃんに弟か妹ができたら、親子みたいな年齢になりますよ?』
菊川『・・・』

親子より兄弟が歳離れているとか、日曜日のアニメもビックリだ。
そもそも、21世紀になって10年以上経った今も続いてるという事にビックリである。
いつの間にか一部のキャラの声が変わっていたのは、致し方無い事だろう。

優亜『どさくさに紛れて、私の事も触ったりするんですよ~』
菊川『宴会とかで?』
優亜『はい。お盆とか運んでいる時に、お尻に手がさわさわっと・・・』
菊川『ハハ・・・アイツみたいな事するんだな』
優亜『笑い事じゃないですよ~。でも、亀田君の時みたいにする訳にはいかないじゃないですか』
菊川『・・・』

あれ以来、セクハラのターゲットは藍美だけだ。
よほど恐ろしい目に遭ったらしい。

菊川『一応、客だしな。で、リーダーは最近会った?』
優亜『いえ・・・』
菊川『藍美も萱島も会ってないって。もう一人はよく分からないけど』
優亜『心配ですね・・・』

リーダーの言う《心配》とはメガネ本人の事だろう。
彼女はそういう人間だ。
ちなみに《もう一人》も女で、藍美と年齢はそう変わらないはずだがセクハラされているのを見た事が無い。
《何となく、その気になれないでヤンス》と言われ、不思議と納得してしまったのを覚えている。

菊川『そうだけど・・・』
優亜『分かってますよ。ちゃんと手は打っておきます』

その言葉を聞いてとりあえず安心した。
リーダーは過去に色々あったらしく、想像もつかないような人脈を持っている。
何かあった時も、とりあえずリーダーの名前(本名ではない方)を出せば何とかなる。
ただニコニコしているだけの女性ではない。
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