cyan(菊川)

??『・・・血縁者や親族には干渉しないって約束でしたよね?』

屋上、こども広場。
子供用の遊具や小さな稲荷神社、そして催し物が行われるであろう舞台がある。

??『・・・どうなんですか、尚志君?』

そんな憩いの場所の隅の方で、オレは一人の女性に詰め寄られていた。
いつもの朗らかな雰囲気は、全く感じられない。

菊川『・・・』

茶色の長い髪を水色のリボンで纏めている。
オレと同じ位の歳に見えるときもあれば、まだ20代に見えたりもする。
密着されている為に胸が当たったり良いニオイがしたりもするが、感触や香りを楽しんでいる場合でもない。

菊川『・・・何が?』
??『さっきまで、一緒にいたじゃないですか』

自販機コーナーの陰にいるとはいえ、何人かがこちらを見ながら通り過ぎていく。
外から見れば、痴話喧嘩にしか見えないと思うがあまり長居はしたくない。

菊川『さっきまでって・・・栗橋君?』
??『そうですよっ!』

とぼけたフリをして聞いてみる。
やっと分かったんですね、とでも言いたげな表情に変わった。

菊川『弟か何か?』
??『・・・息子です』

小さく呟く。
そしてその言葉に、オレは耳を疑った。

菊川『息子?』
??『・・・はい。一人息子です』
菊川『いや・・・ちょっと待て』

栗橋は確か23か24だったはずだ。
と、言う事は・・・

??『まだギリギリ30代ですっ!』
菊川『心の声を読むなっ!!』

それでも、そんな年齢には見えない。

??『でももうすぐ・・・40ですけど』
菊川『ケーキ買ってお祝いしようか?』
??『いりませんっ!あ、でも・・・イチゴのなら』
菊川『・・・』

しかし驚いた。



まさか、リーダーが栗橋の母親だったとは。
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