cyan(菊川)

菊川『じゃあ・・・また何かあったら』
栗橋『・・・はい』

伝票を手に立ち上がる。
栗橋が財布を出そうとするのを制止した。

栗橋『いや・・・でも』
菊川『この一件が済んだら奢ってよ』
栗橋『・・・分かりました』

渋々だが納得してくれたようだ。
会計を済ませようとした、その時だった。

栗橋『あれっ、どうして?』

偶然、栗橋の知り合いが来ていたらしい。
とりあえず挨拶をしようとして、表情が凍り付くのを自覚した。

菊川『・・・!』
??『ええっ?わっちゃんも同じ店だったなんて~!知ってれば声かけたのに~・・・』
栗橋『チョコレート付いてる』
??『んん・・・自分で出来るよぉ・・・』

口元を拭ってもらっている女性に、心当たりがあり過ぎた。

栗橋『あ、紹介します。オレの・・・』
??『あれっ、確かバルカンズの菊川選手ですよね?わっちゃん凄い人と知り合いなんだ~、良いな~・・・』
菊川『・・・はじめまして、バルカンズの菊川です。せっかくですので御馳走しますよ』
??『え?悪いですよ・・・そんな』

彼女から受け取った伝票を見てみた。
アイスコーヒー。
プリンアラモード。
グレープフルーツジュース(果汁100%)。
季節のシャーベット。
チョコレートパフェ。
特製レアチーズケーキ。
宇治抹茶ラテ。

菊川『・・・』

ちょうど彼女も出る所だった・・・訳が無い。
どう考えても、前からいてこちらを伺っていたとしか思えない。

??『すみません。ありがとうございます・・・』
菊川『いえ・・・』
??『あの、握手してもらえますか?』
菊川『あ、はい・・・』
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