cyan(菊川)

みわ『あらん?』

入口のドアが開く音がした。
二人連れの若い男女が入って来る。
先程予約の電話をしてきたという客だろうか。

??『みわちゃーん、こんばんはー』
??『こんばんは・・・』

男の方には見覚えがあった。
湯野上賢治(ゆのかみけんじ)。
今年の始めにバスターズからキャットハンズに移籍した、左腕のピッチャーだ。

ユリ『いらっしゃいませ。湯野上さん達もカウンター席で大丈夫ですか?』
湯野上『うん。ユリちゃん今日も可愛いねー。セーラー服良く似合ってるよ』
ユリ『あ、ありがとうございます・・・』

女の方は、先日連れてきた湯野上の妻とは別人だった。
茶色の髪をアップにまとめており、前に見た湯野上の奥さんよりも背が高い。

みわ『んも~。ケンちゃん、アタシの事も褒めて褒めて?』
湯野上『うん、みわちゃんも相変わらず綺麗だよ~』
みわ『まあ、お上手。今夜はたっぷりサービスしちゃう★』
??『・・・』

連れの女性が呆気に取られている。
オレが初めて来た時と同じ反応だ。
そういえば、女の方も何処かで見たような気がする。

みわ『初めまして。この店の店長してます、みわでーす。ケンちゃんとは、野球部の先輩後輩・・・いえ、それ以上の関係だったのよ。ウフ★』
リナ『・・・』
??『・・・初めまして。湯野上賢治の妹の湯野上舞佳(ゆのかみまいか)です。あの、兄が何か迷惑かけてないでしょうか?』

そういえば、湯野上のブログに何回か出ていた。
たまに食事に行ったり、自主トレに付き合ったりしているらしい。
だが、それ以外にも何処かで見たような気がする。

みわ『あらら、可愛らしいお嬢さんね。私の事は《みわちゃん》って呼んでネ★』
舞佳『はぁ・・・』
湯野上『も~、マイちゃん・・・僕の知り合いと会うたびにそう言うの止めようよ~』
舞佳『だって兄貴、ロクな事しないじゃん。いっつも野球以外の事で騒ぎ起こすし・・・』

先日初めて、湯野上のブログを見てみた。
まず、更新数が凄まじい。
一日に数件更新される事も多く、更新数が100を超えた月も幾つかあった。
内容はというと、その日行った練習メニューが記されている時もあれば、食事に行った際にレストランのスタッフと記念撮影をしてる物、中にはただ本人のアップが写っていて
『これから練習でーす(^0^)/』
とだけあるのもあった。

湯野上『あれ、菊川さんだ。先日はご馳走様』
菊川『あ、ああ・・・。最近よく会うな。そちらは妹さん?』
舞佳『はい。妹の湯野上舞佳です。あの、兄が・・・』
菊川『うん、大丈夫』

他球団の選手や他のジャンルのスポーツ選手と写っているのもあり、意外な人物の登場に驚かされもした。
あまりにも量が多いので、途中までしか読んでない。
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