cyan(菊川)

会話が続かないのでテレビを付ける。
深夜のスポーツニュースでメジャーリーグの特集をやっており、日本人選手の近況が出ていた。
進は・・・相変わらず、出たり出なかったりらしい。
画面がスタジオに切り替わり、ピンク色の髪をしたアナウンサーが『頑張って欲しいですねっ!』と言っている。

菊川『・・・』

リナの方を見る。
退屈そうにスマホを操作していた。
再びテレビに視線を戻す。
今度は女子サッカーの特集が始まった。

リナ『・・・酷い守備だったわね』
菊川『守備?』

女子サッカーなら、最近は絶好調だ。
観客数も増え、スポーツ誌の一面を飾る事も珍しくない。
そんな事を考えていると、さらに冷たい一言が浴びせられた。

リナ『2日前』
菊川『あ・・・』

思い出した。
2日前の試合、オレは久々に守備についた。
・・・結果、シングルヒットをスリーベースにしてしまった。
いくら最近守備についてないとはいえ、ここまで自分の体が動かない事に愕然とした。

リナ『・・・私の方がよっぽど動けるわね』

それはそうだろう。
改めてリナを見てみる。

リナ『な・・・何よ?』

リナより守備が下手なプロ野球選手は、おそらく何人もいるだろう。
無論、今のオレもその一人だ。
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