cyan(菊川)

菊川『4人分、オレが払うから』
湯野上『え、良いの?ラッキー・・・ふごっ!』

鈍い音と共に、湯野上の身体が崩れ落ちた。

絵久『・・・もう!あの・・・本当に良いんですか?』
菊川『構わないって』
湯野上『おぐぐ・・・』
ユリ『うわぁ・・・』

この中では一番先輩だ。
オレがかつてそうして貰ったように、先輩の務めを果たすとしよう。

萱島『菊川さん太っ腹~』
みわ『ホントにね。イイ男~』
菊川『・・・』

このオカマ店長、湯野上夫妻の高校時代の野球部の先輩らしい。
どんな野球部だったのだろうか。

湯野上『そうだ、写真撮って良い?ブログに載せる用の』
みわ『構わないわよ~。隅々まで、余さず写し撮って頂戴★』
菊川『・・・』
萱島『・・・』

オカマ店長がノリノリでポーズをとっている。
確かに良い店だが、ネットで配信できるかどうかは別問題だ。
あの絵や置物も店長の趣味なのだろうか。

湯野上『キミも一緒にどう?』
ユリ『わ、私ですか?』
萱島『・・・止めた方が良いんじゃないですか?ユリちゃん、まだ高校生だよね?』
ユリ『はい・・・』
湯野上『じゃあさ、ブログには載せないから記念に写真撮らせてくんない?できれば2ショットで』
絵久『・・・あなた?』
湯野上『ひいっ!?ウ、ウソだって・・・ほんの冗談、イッツジョーク。ね?』
絵久『・・・』

無表情が逆に怖い。
見つめられたら、石になってしまいそうだ。

湯野上『・・・そ、それじゃあお先~。楠葉ちゃん、また明日ね。菊川さん、御馳走様でした~』
絵久『皆様おやすみなさい。菊川さん、御馳走様でした。・・・ほら、さっさと歩いて』
萱島『お、お疲れ様です・・・』
菊川『おやすみ・・・』
ユリ『ありがとうございましたー・・・』
みわ『まった来てネン★』

そのまま連行されるように止まっていたタクシーの1台に乗り込み、夜の道へ消えていった。
ブログや私生活が原因で、よく球団から厳重注意を受けているらしい。

萱島『奥さんに怒られた事も一度や二度では無いみたいですよ・・・』
菊川『・・・』

自分はやっていないが、ちょっとした書き込みが大騒ぎになる事もあり大変そうだ。
何回か勧められた事もあったが、断った。

萱島『さ、行きましょう』
菊川『ああ・・・』

もう一台のタクシーに乗り込む。
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