cyan(菊川)

菊川『・・・ょせ・・・ゃめろ・・・』

目が覚めた。そして・・・

菊川『・・・うわっ!?』

椅子からずり落ちた。

みわ『んもぅ~、失礼しちゃうわぁ!・・・プンプン』
萱島『みわちゃん近過ぎ!ほら、菊川さん・・・』
菊川『ああ・・・』

萱島の手を借り、椅子へと戻る。
カウンターの中で、厚化粧のオカマが頬を膨らませていた。

ユリ『フフッ、菊川さん面白いです~』
??『うんうん。新たな一面大発見って感じだねー』

エプロンを付けた女子高生の店員と、一組の男女がこちらを見ていた。
女の方は、ウェーブのかかった金髪をしている。

??『・・・からかわないの。大丈夫ですか、菊川さん?』
菊川『ああ・・・大丈夫』
ユリ『どうぞ』
菊川『すみません・・・』

グラスに注がれた烏龍茶を飲む。
今日は、キャットハンズの本拠地近くにある萱島オススメの店に来ていた。
オカマが店長というのには少々ビックリしたが、店の雰囲気は良く料理も美味しい。
店員以外に先客が二人おり、一人は知った顔だった。

みわ『絵久ちゃん達、何か飲む?』
絵久『あ・・・でしたら、私も烏龍茶で・・・』
??『じゃあボクも』
ユリ『はーい、かしこまりましたー』

男の方は、湯野上賢治(ゆのかみけんじ)。
キャットハンズに所属する左ピッチャーで、今年の始めにバスターズからトレード移籍してきた。
酒が全く飲めないらしく、ノンアルコールのカクテルを飲んでいた。

ユリ『お待たせしました、烏龍茶です』
絵久『ありがとう。・・・はい、あなた』
湯野上『うん』

仲良く烏龍茶を飲み始めた。
一緒にいる金髪の女性は湯野上の奥さんで、高校時代の同級生らしい。

萱島『湯野上さん達はどうしますか?』
湯野上『そうだねー・・・そろそろかな。菊川さんはホテル?』
菊川『うん。タクシーお願いできる?途中まで一緒に乗るから』
絵久『あ・・・私達も』
ユリ『分かりました。店の前に2台呼びますね』

女子高生の店員が電話をかけ始めた。
この店員は三国由利(みくにゆり)。
日本有数の企業グループ、三国グループ社長、三国孝造(みくにこうぞう)の次女だ。
恋恋高校の野球部に所属しており、去年の夏からキャプテンを務めているらしい。

ユリ『あ、いつもお世話になっております・・・』
菊川『・・・』

慣れた感じでタクシー会社とやり取りを始めた。
今さらだが、こんな店で働いていて問題にならないのだろうか。
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