財閥の娘(栗橋)

??『ゴメンね、待たせちゃったかな?』
栗橋『いえ・・・』

本当は約束の時間よりも前に来ていたので、暇をもて余していた訳だったが口には出さなかった。
軽く周囲を確かめ、向かいの席に腰掛ける。
そして帽子とサングラスを外した。

??『じゃあ栗橋君、ここで会った事と今日話した事は・・・』
栗橋『分かりました。お忙しい所ありがとうございます、菊川さん』

菊川尚志(きくかわたかし)。
バルカンズに所属する外野手で、首位打者を獲った事もある。
去年まではパワフルズに所属しており、接点はほとんど無かった。
試合前の練習の時に挨拶程度は交わすものの、会話をした記憶はあまり無い。

菊川『いや、こっちこそ急だったからね。・・・アイスティー、ミルクで。キミは?』
栗橋『じゃあ、アイスコーヒーで』

今から少し前の話だ。
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