財閥の娘(栗橋)

西条『そうだ・・・矢部君だっけ?一応渡しとくね』
矢部『おおっ、女子リーグのチラシでやんす。ありがとでやんす』
栗橋『あの・・・良かったら、オレにもいい?』
西条『あれ、前に樟葉と来たんじゃない?』
栗橋『まさか二人がいるなんて、全く・・・』
西条『はい、チラシね。たまになんだけど、この店の手伝いをしてるの』

何人かの選手が写っており、西条さんと城咲さんの姿もあった。
下の方には試合の日程が載っている。

栗橋『どうりで滅多に会えないって、ネットにあったんだ』
西条『ネット?』
矢部『やんす。クチコミの掲示板を見て、今日は来たでやんすよ』

チラシを鞄の中にしまう。

栗橋『うん。まさか、みっちゃんに会えるとは思わなかったけど・・・』
西条『ちょっと見せて』
矢部『やんす』
西条『これって、誰でもカキコミできるの?』
矢部『もちろんでやんす。試しに今からカキコミするでやんす』

画面を操作し始める。
目にも止まらぬ速さだ。

西条『リーグの宣伝とか、してくれるの?』
矢部『《皆に報告でやんす!今日はなんとなんと、噂の二人が濡れ濡れのスケスケでやんした!!》』
栗橋『・・・』
矢部『《・・・写真をうpできないのが残念でやんすが、お二人を見て想像で補ってほしいでやんす》っと、こんな感じでやんすね』
西条『・・・』
矢部『後はポチッとやればカキコミ終了でやんす。では早速・・・ギニャーでやんすー!!』

矢部君の手が画面に触れるよりも一瞬早く、城咲さんの手が矢部君の頭を捉えた。

城咲『・・・これ以上、店の中におかしな人を増やさないでくれる?』
西条『おお、アイアンクローだ!あれで何人もの拓哉が葬られた事か・・・』
矢部『痛いでやんすー!オイラはお店の宣伝をしてあげようと思っただけでやんすー!!』
栗橋『《何人も》って・・・』
西条『マ●オよ、マ●オ』

ヨッシー云々の話をした後だったので、すぐにピンときた。

栗橋『・・・なるほどね。でもそのうちゲームオーバーになるんじゃない?』
西条『ああ、それは大丈夫。その後1UPしてるから』
矢部『和んでないで助けるでやんすー!!』
城咲『店の中に大砲みたいなカメラ置かれたり、長時間注文無しで滞在されたりして大変なの!!・・・あと美月、どさくさに紛れてとんでもない事言わないで。ダブルでヤバいから』
矢部『グギャ!でやんす~・・・』

解放され、テーブルに突っ伏す。
例の音楽(マ●オがミスした時のアレ)が頭の中に反芻した。

西条『はーい・・・あーあ、私も1UPしたいなー』
城咲『やめなさい』
西条『アタッ!』
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