財閥の娘(栗橋)

栗橋『ところでさ』
西条『もぐもぐ・・・なぁに?』

テーブルにはオレ、矢部君、そしてリトル時代にチームメイトだった女子リーグの西条美月さんと、彼女のチームメイトである城咲円さん。

栗橋『みっちゃんって、アメリカで野球してたんだっけ?』
西条『うん。パラダイスリーグっていう独立リーグ。結構レベル高いよ。円ともそこで知り会ったんだよね~』
城咲『懐かしいわね・・・』

彼女達が口にしているのは、まかないのタコライス。
オレも一口貰ったが、ピリッとした味付けで美味しかった。

矢部『他に女の子はいなかったでやんすか?』
城咲『何人かはいたわよ』
西条『現地の娘もいたし、私達みたいに日本から来てる娘もいたかな。ヨッシー達、元気かな~』
栗橋『ヨッシー?』
矢部『ヒゲの人が上に乗って移動するアレでやんすか?』
西条『そうそう、それで頭を叩くと舌をビローン・・・って、違うから!』
城咲『・・・』
栗橋『・・・』

よくよく考えると、恐ろしい生き物だと思う。

西条『ヨッシーっていうのは・・・あ、いらっしゃいませー!』
城咲『美月、口・・・』

説明しようとした所で、ちょうど、お客さんが何人が入ってきた。
慌てて椅子から立ち上がる西条さんの口を、城咲さんが紙ナプキンで拭いている。

西条『じゃあ、例の件お願いね。あとそれ、食べて良いよ』
矢部『じゃあ早速・・・やんすっ!?』

今まで自分達が使っていたスプーンを素早く奪い取る城咲さん。
実に鮮やかだ。

城咲『・・・お客様、新しいスプーンをお持ちしますので少々お待ち下さい』
矢部『オイラは別に気にしないでやんす』
城咲『私達が気にするの』
西条『私は別に・・・アタッ!』

脳天にチョップを喰らわせ、奥へと下がってしまう。

西条『うう、円の意地悪・・・はーい、お伺いしまーす!』
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