財閥の娘(栗橋)

西条『そういえば、紹介まだだったね。この娘は城咲円(しろさき まどか)。私と同じチームで野球やってるの。歳も一緒だよ』
城咲『よろしく。・・・メガネの人は?』
栗橋『矢部君?お手洗いじゃなかったかな?』

西条さん達が慌てて奥に下がってから、すぐにトイレに駆け込んでいった。
そろそろ10分位は経つが、まだ戻ってこない。

店長『《オイラモウタマランデヤンス!》トカイイナガラハイッテッタヨ。イッタイドウシタノカナ?』
城咲『・・・最っ低』

店長が厨房から顔を覗かせてニヤリとしてる。
と、同時に矢部君がトイレから出てきた。

矢部『やんす・・・』
栗橋『あ、矢部君』
城咲『・・・』
矢部『ガンダーロボがあるから戦争になるのでやんすか、それとも戦争があるからガンダーロボが必要になるのでやんすか・・・永遠のテーマでやんす』

悟ったような表情をしている。
一方で女性陣2人は明らかにドン引き状態だ。

西条『・・・ねえ、円』
城咲『嫌』
西条『まだ何も言ってないよ?』
城咲『どうせ美月の事だから《今日の閉店作業、分担替わって?駄目ならトイレ掃除以外全部するから》でしょ?』
西条『おおー、正解。しかも一字一句間違い無し』
栗橋『す、凄い・・・』
西条『そりゃあね。円は私の事なら何でも分かるのよー』
城咲『ちょっとー・・・引っ付かないでよー』

そう言いながらも、あまり嫌そうにはしていない。
まさかそういう関係・・・な訳無いか。

西条『で、質問の答えは?』
城咲『絶対に嫌・・・イタッ!』
矢部『実にスッキリしたでやんす・・・そしてとても美味しいでやんす』
西条『そ、そう・・・あのさ、円』
城咲『明後日なら構わないわよ・・・それと、結構痛い』

少し涙目になりながら答える城咲さん。
今回ばかりは、西条さんの言いたい事が何となく分かってしまった。

西条『ゴメン・・・でも、明日はどうしよう』
城咲『翡翠にでも借りれば?』
西条『うん、そうする・・・』
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