財閥の娘(栗橋)

なつき『ふぅ・・・出すもの出してスッキリしたわ』
みずき『デリカシーのかけらもないセリフね・・・』

藤乃さんが出てきた。
ハンカチで手を拭いている。

栗橋『伊勢崎先輩は?』
なつき『私と入れ違いでトイレ入ったわよ』
矢部『店長もいないでやんす』
萱島『買い出しにでも行ってるんじゃないですか?』
ユリ『お待たせしましたー。ミックスフライ盛り合わせとシーザーサラダです』

三国さんが料理を運んできた。
大きな皿を2つ、軽々と持っている。

みずき『はい、ありがと。アンタはここのバイト?』
ユリ『はい。三国由利です。よろしくお願いします』
みずき『よろしくね。なつきの事《先生》って呼んでたけど、もしかして教え子なの?』
ユリ『はい。野球部の監督です』
みずき『って事は、アンタやっぱり高校生?』
なつき『そうよ。ピッチピチの女子高生~。若いって良いわね~』
ユリ『もう、先生・・・』

酔っ払った藤乃さんが、三国さんの脚をペタペタ触る。
何となく三国さんが嬉しそうなのは気のせいだろうか?

みずき『・・・ツッコミ所満載の店だけど、なつきも元気そうだから今日は良しとしましょう』
なつき『・・・』
みずき『ほら、そんな顔しないの。・・・しっかし、相変わらずデカいわねー』
萱島『・・・』

肩に置いた手を、今度は胸に持っていく。
そのまま揉み始めた。

なつき『あっ・・・』
みずき『ったく、何よコレ・・・。一体何食ったらこうなるのかしら?』
萱島『・・・』
みずき『通販で買ったアレも全然効果無かったし・・・』
なつき『う・・・ああ・・・』
栗橋『・・・』

若干妬みが混じり始めた。
藤乃さんも少し痛そうにしている。

ユリ『あ、あの・・・』
みずき『ゴホン・・・今日は私と怜の奢り。さ、乾杯するよ。みんなグラス持ってー』
ユリ『わ、私もですか?』
みずき『そうよ。烏龍茶でも持ってきなさい』
栗橋『先輩はどうしますか?』
みずき『戻ってきたら改めて乾杯しましょう』
矢部『ご馳走になるでやんす』

烏龍茶入りのグラスを持った三国さんがテーブルの前に来た。
それを合図にみずき先輩が乾杯の音頭を取る。

みずき『それでは、なつきとの再会を祝して・・・』
一同『乾杯!!』
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