財閥の娘(栗橋)

二人の美女がオレを奪い合う。
普通なら喜ぶべきシチュエーションなのだが、その二人が自分にとっていわく付きの人物なら話は別だ。

??『邪魔しないでくれるかしら?』
??『・・・邪魔しようとしていたのは、貴女じゃないんですか?』
栗橋『・・・』

白い服の女が、掴まれた手を乱暴に振りほどいた。
通行人が羨むような視線を送ってくる。
できる事なら代わってもらいたい。

??『いい加減、今日こそ話してもらうわよ』
栗橋『いや、球団を通して・・・』

なんてテンプレ通りの言い訳が通用するとは思えない。
マスコミでなければ探偵か何かだろうか。

??『貴女に話す事なんか何もありません。ね、栗橋さん?』
栗橋『あ、ちょっと・・・』

もう一人の女性が、腕を絡ませてきた。
柔らかい感触が肘に当たる。

??『私が先でしょ?』
??『そんなの関係ありません』
栗橋『・・・』

どうしてこのような状況になってしまったのか、それは少し前に遡る。
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