出会いと再会(なつき)

みずき『アンタ、高校でちゃんとやってんの?』
なつき『ん~、それなりにはやってんじゃな~い?』

不思議な感じだ。
こうして青い髪の女性・・・橘みずきさんと話していると、キャットハンズに戻ってきたように錯覚してしまう。

矢部『店長、遅いでやんすね』
萱島『欲しい食材が売り切れだった、とかじゃないですか?』

ビールを一口飲む。
メガネの男、矢部明雄と女子リーグ初のNPB選手、萱島樟葉。

栗橋『伊勢崎先輩も戻ってこないですね』

そして矢部の高校時代の同級生、栗橋渡。
今は3人ともキャットハンズに所属している。

みずき『自己管理もロクにできていない奴なんか、放っておきましょう』
矢部『手厳しいでやんす・・・』

みずきさんの同期で、私とも同い年の伊勢崎怜(いせざきりょう)。
ちょうど私と入れ違いで洗面所に入っていく所だった。
カウンターから料理を持ったユリが出てくる。

ユリ『お待たせしましたー』
矢部『どうもでやんす』
みずき『・・・ねえ、ユリちゃん』
ユリ『はい、何でしょう?』

みずきさんに直接名前を呼ばれる。
部員達が見たら、驚愕する光景なのは間違いない。
せっかくだから、部室に飾るサインをお願いしてみようか。

みずき『あのバカはともかく・・・店長がいないっていうのは大丈夫なの?』
ユリ『一応、入口閉めて貸し切りにはしてますけど・・・もう一度、連絡取ってみますね』

念の為、私も確認してみたがオカマ店長からの着信及びメール等は一切無かった。
代わりに、リナからの着信が何件か入っていたが結構時間が経ってしまっていた。

栗橋『うん・・・美味い』
ユリ『お待たせしましたー』
矢部『そろそろ食べ物が無くなりそうでやんす』
萱島『ユリちゃん、何かできるのある?』
ユリ『えっと・・・コレとコレなら・・・』
みずき『・・・』

唐揚げを一つつまむ。

冷めてしまっていたが、それでも美味しかった。

萱島『じゃあ、両方お願いね』
なつき『あと、コレも』
ユリ『かしこまりましたー』
みずき『・・・ちょっと待って!』
栗橋『え?』
みずき『・・・来て』

何かを思い出したような表情をしたみずきさんが、ユリの手を引き外に出ていってしまった。

矢部『やんす・・・?』

矢部がこっちを見てきたので《さあ?》とばかりに首を傾ける。
何か聞かれたくない話でもあったのだろうか?
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