出会いと再会(なつき)

なつき『・・・ぅぅ・・・あれ?』

目が覚めた。見慣れた光景が広がる。
いつの間に帰ってきたらしい。

ユリ『大丈夫ですか、先生?』

ユリだ。部屋の片付けをしてくれている。
よく見ると、読み散らかしたスポーツ新聞や雑誌が綺麗に畳んで置いてあり、脱ぎ散らかしたままの服や下着が何処かに消えてしまっている。

ユリ『今の時間に動かす訳にはいかないので、明日起きたら回して下さいね』
なつき『ああ、悪い・・・』

洗濯物も溜まってしまっていた。
どうも後回しにする癖が抜けない。

ユリ『構いませんよ、別に。それにしても・・・』
なつき『・・・?』
ユリ『先生の、とっても良いニオイでしたぁ・・・』
なつき『ひいっ・・・!』

体温が一気に2度位下がった気がする。
・・・やっぱり、こまめに洗濯しなくては。
社会人としての務めだ。

ユリ『何か飲みます?』
なつき『何でも良いから、封を切ってない状態で提供してくれ』
ユリ『んもぅ、疑い深いなぁ・・・』
なつき『当たり前だ』

ペットボトルのお茶を飲む。
飲みはじめた、その時だった。

ユリ『・・・あああああ!!』
なつき『な、何?』

突然ユリが絶叫した。
お茶を少し吹いてしまう。

ユリ『サイン貰うの、忘れたぁぁぁぁ!!』
なつき『ああ・・・』

そういえば今日(正確には昨日)、キャットハンズの面々が店に来た。
その中には今年入団した女子選手、萱島もいた。
彼女のサインが欲しかったのだろう。

ユリ『と、言う訳で先生』
なつき『・・・ひっ!?』
ユリ『慰めて下さいっ!』
なつき『や、やめ・・・離して・・・イヤァァァァ!!』

深夜の住宅街に私の悲鳴が響き渡った。
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