出会いと再会(なつき)

明日からは控えるといっても、今日だけは飲みたい。
頭に浮かんだ変態教頭の醜悪極まりない顔を、飲む事で掻き消す。

なつき『みわちゃん、おかわり!』
みわ『はいは~い♪・・・あら?』

入口のドアから鈴の音がした。
誰か来たようだ。

ユリ『あ、いらっしゃいませー。すぐにご用意しますので、おかけになってお待ち下さい』

ユリがテーブル席に案内する。
その間にも、さらにもう一杯飲み干した。

みわ『ちょっとなっちゃん?いつも以上にペース速いんじゃないの、大丈夫?』
なつき『大丈夫よ~。みわちゃん、ジャンジャンバリバリ持ってきて~!』

自然と声も大きくなる。
その時、ユリが私の横に来て胸元に手を持ってきた。
恐怖で思わず身を固くしてしまう。

ユリ『先生、ボタン外れてますよ。せめてここまでは、ちゃんと付けとかないと・・・』

・・・緩めたボタンを閉め直しただけだった。
しかし、ユリの声色がいつもと若干違う。何かあったのだろうか?

??『あらら・・・』
??『やんす・・・』

ふと視線を感じ、振り向く。三人の男女がこっちを見ていた。
男が二人で女が一人。男の一人は分厚い眼鏡をかけている。
何処かで見たような気もするが、酔っているせいか頭が働かない。
少なくとも、この店の中で会った記憶は無い。

なつき『・・・んー?アンタ達、もしかしてみわちゃんの知り合~い?』
??『あ、はい・・・』
??『まあ、一応・・・』

眼鏡をかけてない方の男とセミロングの女が答える。
男の方は、さっきから店内を落ち着かない感じで見回している。

この店に、ユリや私の個人的な知り合いが来る事は無い。
遥や他の教師に場所を話した覚えはなく、ユリも(店が店なので)他の人には教えていないはずだ。
・・・まあ、例外が一人いるが。

近所の住民を除けば、来るのは基本的にオカマ店長の知り合いしかいない。
オカマ仲間や高校時代のチームメイトに監督、前に働いていた店の知り合いといったところだ。
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