新天地へ(栗橋)

ある日の練習中、オレは球団事務所に呼び出された。

開口一番、来年は契約する意思が無い事を伝えられた。
そこそこ実績があるので、トレード要員として考えていたが、話がまとまらなかったらしい。
現役続行を希望するかどうか聞かれたので、もちろん希望すると答えた。

会談を終え、廊下に出るとオレを担当したスカウトがいた。
会うのは、一年目に二軍にいた時以来だ。
スカウトはオレに大きめの封筒を渡し、何も言わず去って行った。

封筒の中には過去のトライアウトに関する資料、そして戦力外通告を受けてから他球団で活躍した選手の資料等が沢山入っていた。
中には聞いた事のある選手の名前もあった。

トライアウトに備えて練習する事しか、オレにできる事はなかった。
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