フォーム改造(ヒスイ)

翡翠『すみませんでした・・・』

新幹線のデッキ。
開口一番、電話の向こうにいる相手に謝罪する。

菊川『いや、まあ・・・それだけじゃないけどね。ところで今は移動中?』
翡翠『はい』

新幹線が発車してすぐに、着信があった。
最初にかかってきたのは私達の上司、芹沢(せりざわ)さん。
そして次に画面に表示された名前を見て、思わず顔が歪んでしまった。

菊川『どっち方面に向かってる?・・・そうか、そっちにも既に伝わっていると』

バルカンズ、菊川尚志。
足を痛めた為、登録抹消中。
表向きには練習中に・・・となっているが、どう考えても練習ではない《とある一件》が関わっているのは間違いない。

菊川『他の人・・・そうだな、プロレスの彼女は無理?』

先程の電話で芹沢さんがいった事と同じ事を言っている。
見つかったばかりのアサギ(マミと名乗っていた)はともかく、こういう場面でアリスがいれば心強い。

菊川『こっちからも何人か送りたかったけど、生憎一番近くにいるのは自分らしくして・・・』

少し前に(足を引き摺っていた時よりも以前に)会った時の話では、アサギにちょっかい出そうとした(実際には出していた)眼鏡男とは連絡がつかないらしい。
そしてもう一人、乱闘の現場にいたアイミとかいう黒髪の女性。
さらには、タカコというリーダー的存在の人物(おそらく女性だが会った事は無い)がいるらしい。

菊川『それと・・・』
翡翠『分かってます』

何かあっても表沙汰にはしない・・・先ほど、芹沢さんとも話した事だった。

菊川『じゃあ、気を付けて・・・』
翡翠『はい・・・』

電話を切る。
一度深呼吸をして、座席へと向かった。
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