お酒を飲む事自体はそれほど苦痛ではない。

まだ私がヒスイだった頃、ジュースと称してかなり度数の濃い酒を飲まされた事があった。
多少気分は悪くなったが、翌日もダウンしていたアリスやアサギと違って特に引っ張るような事もなかったと思う。

都城『この交差点は直進して良いのかしら？』
翡翠『はい。もう少し行くと歩道橋がありますので、そこをくぐったら右折です』

にも関わらず、飲み会の会場へと向かう私は少々ゲンナリしていた。
飲む事自体は別に苦では無いのだが、こういった飲み会はあまり好きではない。
話題が続かないのだ。

翡翠『ここの道です』
都城『了解』

本業だけあって、野球そのもの話題なら全く問題は無い。
ファッション関連の話だと途中から付いていけなくなるが、相槌を打つ位なら何とかなる。
一番困るのはプライベートな事・・・特に私の過去、もっと言えば私の素性についてだ。
既に会場にいる西条さんと城咲さんはともかく、それ以外の人間にあまり話す訳にはいかない。
女子の野球人口も昔に比べて増えたものの、やはりこういった場所(リーグ)に来るような人間の出身校は幾つかに限定されてしまう。

天草『お疲れ様です。今、向かってます。あと・・・』
翡翠『10分くらい？』
天草『あ・・・すみません、10分程で着く見込みです』

例えば、今まさに電話中の天草未久(あまくさみく)の出身校とか。
狭い業界だ。
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