フォーム改造(ヒスイ)

茜『そっか・・・それでプロを・・・』
翡翠『はい・・・』
阿畑『どうりで鬼気迫っとった訳やな・・・』

私は阿畑さん夫妻に、自分がNPBを目指す理由を話した。
マズイ部分はさすがに伏せたが、友人を捜す手掛かりの為と正直に言った。

茜『大切な友人の為・・・まさに浪花節や。ウチ、翡翠ちゃんの事気に入ったわ。胸も触らせてもろたしな』
翡翠『は、はぁ・・・』

茜さんは瞳を潤ませながら、私の両手を握ってきた。
この二人、似た者同士だ。

茜『・・・で、実力的にはどうなん?』

茜さんは、少し真剣な目をして問い掛けた。
・・・私ではなく、阿畑さんの方に。

阿畑『そやな、胸は一流や』
茜『分かってるっちゅーねん!』
阿畑『アダッ!』
翡翠『・・・』

茜さんのツッコミが炸裂する。
ハリセンを持たせたら似合いそうだ。

茜『で、腕の方はどうなん?』
阿畑『そやな・・・エエモン持っとるとは思うけど』
茜『今のままじゃ微妙・・・っちゅー事か』

さすがに元プロだけあって、言葉に重みがある。
下手なお世辞を言われるより、ずっと有り難い。

阿畑『せやからな。ワシは・・・』
茜『ちょっと待った!やっちゃん、もうエエ時間や』
阿畑『あかん、いつの間に!』
茜『ゴメンな翡翠ちゃん、夕飯作らなあかんねん』
阿畑『ほな、またな~』
翡翠『あ、あの・・・』

阿畑さん夫妻は、嵐のように去ってしまった。
後には、倉庫から引っ張り出された練習器材だけが残ってしまった。

翡翠『・・・』

さすがにそのままにしておく訳にはいかないので、練習器材を倉庫に戻し用務員の人に御礼を言ってから帰った。
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