フォーム改造(ヒスイ)

城咲『黒はやめなさいって言ったでしょ?』
西条『慌てて支度したから・・・』
翡翠『・・・』

食堂では、円さんによるお説教タイムが始まっていた。
私は片付けをしながら、その様子を眺めていた。

城咲『ただでさえあの店の制服は薄いのに、汗でどうなるか分かるでしょ?』
西条『ごめんなさい・・・』

お腹の上から見えた物は、明らかに黒かった。
薄い生地なら、汗をかかなくても危険だろう。

城咲『今度から出掛ける前にチェックするからね』
西条『はい・・・』

そして、美月さんも結構大きい。
それでも私と違い、あまり気にしてはいないようだった。
試合後にサイン会を行ったりするが、胸の辺りに視線を感じるのが一度や二度ではない。

西条『・・・シュン』
城咲『そうそう。例のドライカレー買ってきたわ。今度、皆で食べましょう』
翡翠『ありがとうございます』
西条『わー、嬉しい。だから、円ってスキ★』
城咲『ちょっと~、引っ付かないでよ~』

円さんに抱き付いている。
やっぱり、私が気にし過ぎなのだろうか?

西条『明日は夕方からだよ』
城咲『午前中は練習ね。翡翠も付き合って』
翡翠『分かりました』
西条『そうだ、翡翠も一緒にバイトしない?』
翡翠『・・・遠慮します』

テーブルを拭きながら答える。
今の話を聞く限り、男性客の視線を気にしなければならない店らしい。
それに・・・ハンバーガー、私はあまり好きではない。

西条『翡翠がいたら、お客さん喜ぶと思うけどなー・・・』
城咲『男の人だけでしょ?大体ねえ、美月は・・・』
西条『はいストップ・・・そういえば円、拓哉とは会った?』
城咲『え・・・!?う、うん・・・』

円さんの表情が変わった。
高校時代の同級生がアメリカでプレーしていて、美月さんとも知り合いらしい。

西条『元気そうだったぁ?』
城咲『ま、まあ・・・』

攻守交代だ。
どうやら、円さんとその人はそういう仲らしい。

西条『イチャイチャした?』
城咲『か、関係無いでしょ!』
翡翠『分かりやすい・・・』
西条『したんだ?』

こうして、女子リーグ寮の夜は更けていった。
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