フォーム改造(ヒスイ)

??『ああ、怖かったわ~・・・。ホンマに少しチビってもうたで・・・』
翡翠『ひ・・・!』

再び男性から距離を置く。

??『いや・・・冗談やって』
翡翠『で、どういう意味なんですか?《今のままやったら無理》って』
??『そんなの、嬢ちゃんが一番良く知っとるやろ』

・・・確かに。
女子リーグでの私は、速球派投手として位置付けられており、先程サインをしたオフィシャルイヤーブックにもその様に紹介されている。
速球派といっても、それは女子の中での話だ。

アメリカのMLBには160kmを超えるピッチャーが多数おり、日本のNPBでも140km台は当たり前で150kmを出すピッチャーも数多い。
私の球速は良い時で130km中盤~後半、普段は130弱といった所だろう。

もちろん、球の速さだけが全てではない。
かつて女子選手の第一人者として男子選手に混じって活躍した早川あおい選手、そして今でもキャットハンズで活躍している橘みずき選手でも球速は140kmに届かない。
だが、彼女達には抜群のコントロールと『魔球』と称される変化球がある。
相手も同じプロである以上、打たれた事が全く無い訳ではないが、数字を見る限り互角以上に渡り合っているのは明らかだ。

そして、私はどうか。
変化球を全く投げない訳ではないが、基本的に速球主体での組み立てとなるのであくまでタイミングをずらす程度だ。
コントロールにしても、ノーコンという訳ではないが常時コーナーを突ける程に精密でもない。
甘く入った所を、相手のクリンナップに痛打される事が何回かあった。
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