5人目の女子選手(なつき)

『どっちが妹か分からないな』と言ったら『妹がいつもお世話になってます』と返されたのを覚えている。
冗談を言う仕種も大人びていた。
ユリもユリで『お姉ちゃ~ん』なんて言いながら甘えるので、本当に姉に見えてしまった。

・・・そういえば一つ、言っておかなくてはならない事を思い出した。

なつき『ユリ、ちょっと・・・』
ユリ『はい』

物陰に呼ぶ。
嬉しそうにホイホイとついて来た。

ユリ『んもー、大胆だなぁ・・・』
なつき『・・・妹に伝言頼めるか?』
ユリ『スルーですか?せめて突っ込んで下さい・・・で、何を伝えれば良いんでしょう?』
なつき『良いガムを教えてやる・・・と』

そこまで言うと、ユリの顔色が変わる。
今は別々に暮らしているとはいえ、姉妹だ。
知らないはずは無い。

なつき『お金もかかるし、ロクな事が無い』
ユリ『はい・・・』

今にも泣きそうな顔になる。
その事で色々あったのだろう。

なつき『後でメーカーと商品名をメールするから』
ユリ『はい・・・すみません・・・』

私も、遥に教えてもらったガムのおかげで止める事ができた。
どういった経緯があったのかは不明だが、自分にできる事といったらこれ位しか無い。
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