5人目の女子選手(なつき)

ユリ『店長ー、在庫少ないの幾つかありますよー』
みわ『明日、買い出し行くからメモしておいてー』
ユリ『はーい』

引き出しからメモ用紙を取り出し、書き始める。
この店には既に何回も行ったが、オカマ店長とユリ以外の店員を見た事が無い。
ユリがいないときは、オカマ店長一人で切り盛りしているのだろうか。

みわ『やっぱりあの娘にも戻ってきてほしいわね・・・』

その言葉で、ユリの手が止まる。
前に誰かいたのだろうか?

みわ『どうしてるのかしらね・・・』
ユリ『一応、手は尽くしてるんですけど・・・』
みわ『悪いわね、ホント・・・』
ユリ『いえ・・・』

辞めてしまったという事だろうか?
イマイチ会話に付いていけない。
ユリは書き終わったメモをレジの近くに貼付けている。

ユリ『あ・・・私が働き始めた頃に、もう一人女の人がいたんですよ。凄く力持ちで、料理も上手くて、優しくて・・・』
なつき『力持ち?』

前にこの店で見た、やたら身体がデカいメイド服の女性を思い浮かべてしまった。
食べっぷりも、常人の範疇を超えていた。
常連のオカマ連中と飲み比べを始め、大変な事になったのを覚えている。

みわ『背はユリちゃんと同じ位かしら・・・』
ユリ『可愛いんですよ~。お客さんに褒められたりすると顔を赤らめて《えへへ、ありがと》って。思わず抱きしめたくなるくらいです~・・・』
なつき『・・・』

テーブルを拭きながら、嬉しそうに語る。
まさか、辞めた原因はソレじゃないだろうか?
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