5人目の女子選手(なつき)

みわ『美味しい?』
なつき『うん』

決してお世辞でも社交辞令でもない。
味付けも丁度良かった。

みわ『嬉しいわ~。みわ、感激★』
なつき『・・・』

これ(オカマ)を差し引いても、通いたくなる。
客のほとんどが、何回も来るのも納得だ。

なつき『みわちゃん、もう一杯お願い』
みわ『はいはーい♪』

グラスを渡す。
常連のオカマ軍団を始めとして、それ以外にも何人か顔見知りになった。

みわ『はい、お待たせー』
なつき『どうも』

初めてこの店に来てから、そろそろ半年だろうか。
メニューはそんなに多くはないが、店長曰く全てが自信作らしい。
今までに幾つか試したがどれも美味しく、そしてビールやワインによく合っていた。

みわ『ユリちゃん、良くやってくれるからホント助かるわぁ~』
なつき『だったら、もう少し安くして』
みわ『そうねぇ・・・アタシ好みの、可愛い男の子を紹介してくれたら考えてあげるわ』
なつき『・・・』

私が監督を務めている恋恋高校は元々お嬢様学校という事もあり、これといって大きな問題を抱えている生徒はいない。
それでも中には、進級が危ぶまれる程に赤点が多い生徒も何人かはいるらしい。

みわ『ユリちゃん、今年で3年だっけ?』
なつき『そう。今年の夏でラスト』

唐揚げをつまみながら答える。
赤点が多ければ、当然部活動にも影響を及ぼす。
私が赴任してきた時にも、学生の本分は勉強であると何かある度に言われ続けてきた。

みわ『お客さんからも評判良いのよ~。中には、アタシじゃなくユリちゃん目当ての人もいてね。みわ、ちょっとだけ嫉妬しちゃうわ。ウフ★』
なつき『・・・』

ここ数年、野球部にはそこまで成績に問題がある生徒はいない。
決して良い成績でなくても、赤点は何とか免れているようだった。

みわ『女子リーグ、目指してるのよね。女の子だけの』
なつき『うん』

聞く所によると、ユリを始めとした何人かが下級生に勉強を教えているらしい。
特にユリは教え方が上手く、非常に分かり易いそうだ。
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