監督初日(なつき)

なつき『いや・・・だから』
ユリ『大丈夫ですよ。減る物じゃないですし・・・』

目を光らせながら、少しずつにじり寄ってきた。
手をワキワキと動かしている。

なつき『の、延岡は何処行ったんだ?』
ユリ『トイレの個室じゃないですか?先生の』
なつき『言わんでいい』
ユリ『いいなぁ・・・うらやましいなぁ・・・』

話題を変えようとしたが、ヤブヘビだった。
無事に逃げおおせたら、きつく言っておかねば。

ユリ『ちょっとだけですから・・・』
なつき『ひぃぃぃ・・・』

目をつぶって覚悟を決めた、その時だった。
階段の上から声がした。

??『オイ三国、藤乃先生起きたか?』
ユリ『あ、晴山先生。大丈夫ですよ。一緒にいます』

ユリは通常モードに戻った。
赤ジャージのおかげで、何とか九死に一生を得た。

なつき『すみませんでした・・・』

助けてもらった御礼も込めて、頭を下げた。
赤いジャージを着た、この体育教師の名前は晴山千尋(はれやまちひろ)。
女とあれば誰それ構わず口説き、下ネタトークを連発する為に、女子生徒からはハレンチと呼ばれている。

晴山『いやいや、構いませんよ。ところでどうです、今夜久々に?』
なつき『・・・奥さんに告げ口しますよ?』
ユリ『そうですよ、あんなピッチピッチの奥さん貰っておいて・・・』
晴山『フッフッフッ・・・今夜もハレンチ砲が、ドッカンだー!』
なつき『サイッテー・・・』
ユリ『うえええ・・・春奈さん大丈夫かなぁ・・・』

ユリは涙目になっている。
できるだけ、想像しないように努めた。
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