監督初日(なつき)

なつき『ア・イ・ツ・ら~!』
ユリ『怒らないって言ったじゃないですか~!』

丸めた週刊誌を片手に廊下を歩いていた。
ユリがしがみついているせいで、なかなか進まない。

なつき『言った覚えは無い!』
ユリ『嘘つき~!』

ユリを引きずりながら歩く。
いつもの事なので、周囲の人間も特に気にしてはいない。

なつき『ええい、離せ!』
ユリ『あいたっ!』

丸めた週刊誌で叩く。パコンと音がする。
それでも離れる気は無いようだ。

なつき『・・・まず、最初が何だっけ?』
ユリ『はい、耳に息を吹きかけても起きませんでした・・・』
なつき『・・・次は?』
ユリ『携帯電話のカメラで寝顔の写真を・・・』
なつき『・・・で、その次は』
ユリ『先生の胸を・・・』

なんちゅー部員達だ。
そこまでされて起きない私も私だが。

なつき『最初のはまだ良いとして、後の二つは何?カメラで撮るとか胸触るとか・・・』
ユリ『可愛い寝顔でしたよ~』
なつき『消せ、今すぐ!』

ユリはハッとした表情になる。

ユリ『しまった・・・寝顔見るのに夢中で、撮るの忘れてたぁ・・・』
なつき『・・・』
ユリ『そうだ、後で送って・・・アイタッ!』

小気味よい音が響く。拡散される前に消させなければ。

なつき『で、その後は?』
ユリ『先生の胸に触ろうとしてたので、寸前で止めました・・・』
なつき『触ってはいないんだな?』
ユリ『た、多分・・・』
なつき『どの辺りまで?』
ユリ『えっと・・・』

ユリの手が私の胸に触れようとする。
当然、その手を押し止める。

なつき『自分ので』
ユリ『・・・ちぇっ』
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