雪が積もった日(なつき)

『ご馳走様でしたー』
『また明日ー』
なつき『気をつけてなー』
ユリ『お疲れー』

部員達が帰っていく。
外は相変わらず雪が積もっていた。
店の前だけは雪掻きされている。

ユリ『大丈夫かなぁ~?』

携帯電話を操作している。

なつき『何か調べ物?』
ユリ『新幹線の運行情報です。結構、雪に弱いんで・・・ああ、遅れてるけど一応動いてはいるみたいですね。良かったぁ・・・』

ユリの実家は新幹線で1時間半程かかる地域にあるらしい。
『らしい』というのは、私は実家の方の詳しい住所を知らないからだ。
複雑な事情がある以上、無理に聞き出す訳にもいかない。

なつき『これから?』
ユリ『はい。今からなら、まだ間に合いますので・・・』

すぐにでも向かうつもりみたいだ。
できれば一緒に行ってあげたいが、そういう訳にもいかない。

なつき『今日は向こうに泊まるのか?』
ユリ『そうですね。本当だったら、先生と同じベッドで熱い夜を』
なつき『さっさと行け』
ユリ『ひ、酷いっ!こうして教育現場の荒廃が始まっていくんですね・・・』
なつき『荒廃してるのはお前のその発想だ・・・』
ユリ『ああ冷たい・・・この雪よりも!』

芝居がかった台詞を言いつつ、雪をぶつけてくる。

なつき『やったな・・・この!』
ユリ『キャアッ!もう・・・』

しばらく雪玉をぶつけ合う。
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