女教師と怪しい店(栗橋)

??『あらぁ~、いらっしゃ~い★』

怪しい店の中に入ったオレ達を迎えてくれたのは、薄気味悪い猫撫で声だった。
声の主を見てみる。

??『ささ、座って座って。お二人共、ウチは初めてよね?』

あんな店構えと、いかにもわざとらしい猫撫で声を聞いた後だったのでそれほど驚きもしなかった。
表の電飾看板にも劣らない程の派手なモヒカン。
そして顎には青々とした髭の剃り跡が広がっていた。

萱島『あ、あの・・・』
??『今日は来てくれてアリガトね。この店の店長をしてます、みわでーす★』
栗橋『そ、そうですか・・・』

カウンターの中にいた店長らしき人物が自己紹介してきた。
声だけではなく、動きもクネクネしており気持ち悪い。
これは、もしかして。

みわ『そうそう。お察しの通り、オカマでーす。《みわちゃん》って呼んでネッ★』
萱島『・・・』

疑問はすぐに解決した。

みわ『ところでお二人とも、お酒は大丈夫かしら?』
萱島『あ・・・私は大丈夫です。先輩は?』
栗橋『・・・オレも大丈夫』
みわ『なら、アタシのオススメで良いかしら?』

みわと名乗ったオカマ店長が聞いてきた。
萱島さんと顔を見合わせ、互いに頷く。

萱島『・・・お願いします』
みわ『了解。ちょっと待っててネン★』

カウンターに氷水の入ったグラスが置かれる。
一口飲んでから、店内を見渡してみた。

萱島『・・・』

隣に座っている萱島さんが、店内に飾ってある絵を見ている。
多数の男女が集団で重なり合っている。
芸術的に見えなくもないが、やはりいかがわしい。

萱島『・・・』

絵から目を逸らした萱島さんが次に見たのは、木馬のような物だった。
そこそこ大きく、大人が乗る事もできそうだ。
しかし良く見ると、乗るべき場所が三角形の形に尖っている。

萱島『・・・先輩、乗りますか?』
栗橋『・・・萱島さんが先に乗ったら』
萱島『・・・』
栗橋『・・・』

あくまで飾りだと思うが、男女を問わず乗るべき物ではない。
他にも、マッチョな外国人男性の写真や古いスロットマシン等が置いてあった。
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