初勝利(栗橋)

萱島『・・・と、こんな感じです』

話し終えて、スッキリとした表情をしている。

栗橋『あの・・・萱島さん』
萱島『何ですか?』
栗橋『・・・幾つか聞きたい事があるんだけど、良い?』
萱島『どうぞ』
栗橋『まず一つ目・・・姫野さんって、どんな人?』

何となくだが、どこかで会った事があるような気がする。
キャンプに行く、少し前くらいに。

萱島『姫野さんですか?そうですね・・・年齢は栗橋先輩よりも一回り上だと思います』
栗橋『・・・』
萱島『体格は女の人にしては大きいかな・・・いや、男の人と比べても大きいかも』
栗橋『・・・』
萱島『やんきーずの半田さん位かな・・・もしかしたら、それ以上かも』

あの人と比べる事自体、尋常ではない。
肉食系というか、肉食獣そのものだろう。

萱島『紹介しましょうか?』
栗橋『いい』
萱島『遠慮する事無いのに~』

この娘、真面目そうに見えて実は天然なのだろうか。

栗橋『・・・二つ目の質問良い?』
萱島『はい』
栗橋『あの後、何か変わった事無かった?』
萱島『いえ、特には・・・』
栗橋『本当に?』
萱島『はい。強いて言うなら、明日謝りに行く予定が明後日になったくらいですね』
栗橋『・・・』

空白の一日に、何かとんでもなく恐ろしい事があったような気がする。

萱島『姫野さん、やけにツヤツヤしてましたね。ちゃんと体調を整えてきたんですよ、きっと』
栗橋『・・・』

あの時現れなかったら、どうなっていた事だろう。
今度、イチゴのケーキでもご馳走しよう。
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