初勝利(栗橋)

萱島『どうすれば良いのでしょうか・・・?』
姫野『そうですわね・・・』

公園のベンチで事後策を練っている所だ。
あれから周囲の目に耐えられなくなった私は、姫野さんを(火事場の馬鹿力で)引きずり、唖然としていた店員に5000円札を握らせ、振り返らずに店を出た。
しばらくは行かない方が良いだろう。

姫野『早い方が良いですわね・・・』

姫野さんが立ち上がり、のっそりと歩き始めた。
私もその後に続く。

萱島『あの、どちらへ・・・?』
姫野『いいから、黙って付いてらっしゃい』

私達は、近くのデパートへと入っていった。
地下の試食コーナーをあらかた食い尽くした姫野さんは、和菓子コーナーへと向かっていった。

姫野『すみません、ちょっと伺いたいのですが・・・』

(店員が制止するのも無視して)試食していた時とはうって変わって、真面目な顔をして店のオススメや賞味期限を尋ねたりしている。
口の周りに食べカスが付いているのは、後で教えてあげる事としよう。
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