初勝利(栗橋)

??『オー、イラッシャーイ!』
萱島『あ、先輩こっちですー』

店の中に入る。
萱島さんが手をあげていた。
今はオレ達の他に客はいないようだ。

??『オヤ、サテハデートカナ?ウラヤマシイネェ・・・』
萱島『え・・・あの・・・』

萱島さんがしどろもどろになっている。
カウンターにいる店長らしき外国人の男性が、こっちを見てニヤニヤしていた。

店長『ハハハ、テレナイテレナイ。モウチョットマッテテネー』
萱島『うう・・・』

すっかり店長のペースだ。
片言の日本語で話している。

栗橋『・・・』
萱島『あれ、先輩どうしましたか?』
栗橋『ああ、大丈夫』

萱島さんが持ってきた水を一口飲む。
考え事をしていたのが顔に出てしまったようだ。

萱島『お腹すきましたね・・・』
栗橋『うん・・・』

厨房を見てみる。
店長が真剣な顔で料理していた。
さっきまでのニヤニヤ顔とは大違いだ。

萱島『さっきとは大違いですね』

萱島さんも同じ事を考えてみたいだ。
オレはこれ以上、先程の電話について考えるのを止めた。
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