初勝利(栗橋)

萱島『頑張りましょうよ~、先輩♪』

頬をぷにぷにしてくる。
生意気な後輩に、少しおしおきする事にした。

栗橋『喰らえ~!』
萱島『い、痛いです~・・・』

頭を抱え、グリグリしてやった。
すれ違う人がバカップルを見る様な目を向ける。

萱島『何てことするんですか・・・この!』
栗橋『い、いひゃいいひゃい!』

お返しに頬をつねってきた。
地味に痛い。

萱島『女の子の顔にそういう事するからです!』
栗橋『ひょくもひぶんでひょんなほとがひえるな(よくも自分でそんな事が言えるな)』
萱島『あー、酷いです!この前、矢部先輩が持ってきた週刊誌にあったじゃないですか。確か《恋人にしたい女性アスリート》私、ランクインしていましたよ?』

ちょっと誇らしげだ。

栗橋『いや・・・確か、アレは・・・』
萱島『なんですか?』
栗橋『もしかして、ちゃんと見てなかった?』
萱島『え・・・どういう事ですか?』

本当に知らない様だ。
照れながら喜んでいたが、よく考えるとおかしい。

栗橋『知りたい?』
萱島『はい』
栗橋『・・・どうしても?』
萱島『・・・はい』

人前で言う言葉じゃないので、耳元で小声で話す。
途端に彼女の顔色が変わる。

萱島『え、ええっ・・・!な、なんですかソレ!!』
栗橋『ランクインおめでとうー』
萱島『セ、セクハラですっ!』

頬を膨らませて睨んできた。
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