初勝利(栗橋)

栗橋『お疲れー』
萱島『先輩。お疲れ様です』

萱島さんが戻ってきた。
汗をタオルで拭っている。

栗橋『初勝利おめでとう』
萱島『ありがとうございます』

あの後、代打の菊川さんは2球目の直球を芯で捉えた。
センターオーバーに抜ける当たりで、万事休すかと思われたが矢部君の好守により事無きを得た。
次の打者を打ち取り、その裏の攻撃で打線が勝ち越したので見事にキャットハンズの勝利。
チームにとっても、そして萱島さんにとっても嬉しい初勝利になった。

栗橋『インタビュー、どうだった?』
萱島『あ・・・はい。今回は、失敗せずに話せたと思います』

もしかしたら明日の一面もあるだろう。
オレも、頑張らなくては。

萱島『ところで、矢部先輩は?』
栗橋『もう帰ったよ。見たいアニメがあるって』
萱島『・・・』

少し呆れたような表情になる。
ある意味、今日の立役者の一人と言っても過言では無い。

萱島『とりあえず、メールの方が良いですよね・・・』
栗橋『うん。電話しても出ないと思う・・・』
萱島『せっかく少しだけ見直したのになぁ・・・』
栗橋『はは・・・で、萱島さん』
萱島『はい』

携帯電話を操作している。
こうやって見ると、普通の女の子に見える。

栗橋『食事、いつにする?』
萱島『あ、もし迷惑じゃなかったら今日これからで大丈夫ですか?』
栗橋『うん』
萱島『分かりました、準備して来ます』
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