雨に打たれて(マミ)

マミ『・・・ナッチお下劣過ぎ』
夏野『だ、だって!いや、確かにショートは少し華奢だとは思ってたけど・・・』
雅『あ、あの・・・』
??『お水、持ってきましょうか?』
サオリ『だ、大丈夫です・・・ついてるっ・・・て・・・』

必死に吹き出すのを堪えている沙織と名乗った女性。
ナッチの本性がツボに入ってしまったらしい。
スーツ姿の二人が心配そうに見ている。

夏野『し、しばらくお待ち下さいー!』
マミ『あ・・・』

慌ててカウンターの奥へと引っ込んでしまった。

サオリ『ふぅ・・・えっと、麻霧さん』
マミ『は、はい・・・』

今までのやり取り、そして先程の店長の態度を見る限り相当に地位の高い女性なのだろう。
《三国》と名乗ったので、本社絡みなのかもしれない。

サオリ『野球はいつ頃から始めたのですか?』
マミ『え?あ・・・その』

一気に体温が下がった。
彼女にとっては、単に場を繋ぐ為だけの雑談に過ぎないだろう。

雅『もしかして、野球始めたの結構最近じゃないかな?』
マミ『あ・・・そんな所です』
雅『じゃあその分、伸びしろがあるって事だね。守備だったら結構自信あるから、何でも聞いてよ』
マミ『よろしくお願いします』

しかし私にとっては、尋問にも等しい物だった。
雅さんの助け船が無ければ、どうなっていたか分からない。
下手をすれば、この話自体が危なくなるだろう。

夏野『あ、あの・・・お冷やをお持ち致しましたー』
サオリ『わざわざすみません。いただきます』
??『ありがとうございます』
マミ『?』

氷の入った水が私の前にも置かれると同時に、軽く小突かれた。
ナッチの方を見ると《大丈夫よ》といったような表情をしている。
軽く頷き返した。
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