雨に打たれて(マミ)

??『・・・と申します。お二人と一緒に野球ができる事を大変喜ばしく思います』

左の女性が自己紹介した。
年はナッチより少し上だろうか。
男ウケのする、それも年上にモテそうなタイプだ。
しかし。

??『よろしくお願いします』
夏野『よ、よろしくお願いします!』
マミ『よろしく・・・お願いします』

彼女の瞳に、何か言い知れぬ物を感じた。
あれはおそらく・・・諦めや絶望といった感情だろうか。
勝手にそう思った私は、握手している間も彼女の目を見る事ができなかった。

??『小山雅(おやまみやび)です。よろしくお願いします。えっと、それで・・・』

続いて右側の女性が自己紹介した。
小山さんと名乗った女性は、ナッチをじっと見ている。

夏野『え?あの・・・』
雅『高校時代、一度対戦してますよね?ときめき青春高校、覚えていますか?』
夏野『ときめき・・・って、ええっ!?』

ナッチが大声をあげた。
カウンターで接客中の店長がこちらを見てくる。

マミ『・・・ナッチ驚き過ぎ』
夏野『い、いや・・・でも、あの高校って確か全員』
雅『うん。だから・・・サラシ巻いてた』
夏野『マジで?って事はアンタだけ実はついてなかった・・・あ!そ、その・・・』

ナッチがこの世の終わりのような表情になる。
沙織と名乗った白い服の女性を見ながら、口を金魚のようにパクパクさせていた。
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