雨に打たれて(マミ)

??『お忙しい所すみません』
夏野『い、いえ・・・って、あ!』

白いブラウス姿の女性の顔を見た途端、急にナッチが居住まいを正した。
自分の服装を確認した後、私の服装を見てベルトを軽く叩く。

??『そんなにかしこまらなくて大丈夫です。二人とも掛けて下さい』
夏野『はい・・・失礼します!』
マミ『・・・失礼します』

ベルトを締め直してから、8番テーブルの席に腰掛けた。
その隣、7番テーブルには三人の女性がいた。
中央の女性は白いブラウス姿だが、左右の二人はスーツを着ている。
いずれも初めて見る顔だ。

マミ『・・・?』

と思ったが、その中の一人に何となく見覚えがあった。
私達に席を勧めてくれた、ナッチが顔を見て緊張した白い服の女性だ。

??『こんにちは』

こちらの視線に気付き、笑顔で挨拶をしてくる。
大学生位だろうか。
長い髪を茶色に染めているが、下品な感じは全くしない。
その気品に圧倒されそうになる。

マミ『あ・・・こんにちは』

テーブルの下でナッチに小突かれ、慌てて挨拶を返した。
美人なだけでなく、出るとこ出ていて羨ましい。

??『お仕事中申し訳ありません。三国沙織(みくにさおり)と申します。夏野さんと麻霧さんが当社の野球部に参加されると聞いて、一度お会いしてみたくて・・・』
夏野『あ、あの・・・夏野向日葵です。こちらの店で副店長として働いております。ほ、本日はお忙しい中御足労頂きありがとうございましたっ!』

相当にテンパっている。
お客さんの少ない時間帯ではあったが、何人かがこちらを見ていた。
とりあえず私も続く。

マミ『アルバイトの麻霧真実です。ナッチ・・・じゃなくて、夏野さんの紹介で働かせていただいております』
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