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Natsuki Fujino
恋恋高校の日々
彼女のおかげですっかり目が覚めた。
決して感謝はしてないが。

この、少し頭のネジが緩い女子部員は２年生の三国由利(みくにゆり)。
選手としては唯一の女子部員であり、夏の大会が終わってからはキャプテンを務めている。
身長は160cm台と他の男子部員に比べるとやや小柄だが、全身にバランス良く筋肉が付いている。

夏の大会は３回戦敗退という結果に終わったが、この大会の２回戦で彼女は３打席連続ホームランを放った。
ちょっとしたニュースになり、地元の新聞でも取り上げられた。

しかし彼女自身は決して驕る事は無く、今日も謙虚に練習に取り組んでいる。
二日酔いでベンチで寝てる事の多い私に代わり練習の指揮を取り、なおかつ雑用にも率先して取り組む。
そんな彼女が満場一致でキャプテンに選ばれるのは当然の流れだった。

一見すると普通の女の子にしか見えない彼女だが、一つだけ違う事がある。
野球をしている事、ではない。
早川あおいさんや橘みずきさんの大活躍のおかげで、野球をする女の子も決して多くは無いものの、珍しくはなくなった。
対戦相手の学校に女子選手が混じっていると、つい注目してしまう。

ちなみに、彼女が他と違うのは『男に興味が無い』という事らしい。

決して付き合いが悪い訳では無い。
練習後に皆で食事に行く事もあれば、個人的に部員の悩みを聞く事もあるらしい。
一部の部員もその事を知っているが、彼女の人柄がそうさせるのか、特に気にせず一緒に汗を流している。

時々、１年生のマネージャー(もちろん女子)をじっと見つめている事があるが、何か手伝える事が無いか考えているのだと思いたい。
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