姉妹(???)

サオリ『この前はどうだった?』
雫『この前?』

私と雫は喫茶店にいた。
偶然だろうか、先程の店と同じ系列だった。
眼鏡男とではなく雫といるおかげか、同じはずのコーヒーでも美味しく感じられた。

サオリ『うん・・・ユリ、何か言ってた?』
雫『ユリ?えっと・・・身体のケアの事とか、バッティングフォームについて色々教えてもらった』

少し前から、雫にお願いしている事がある。
それは私の姉、ユリの事だ。

サオリ『そう・・・何かされなかった?』
雫『何か・・・って?』
サオリ『ううん、何でもない』

どうも彼女は私の知らない《何か》を知っているらしい。
そこで、(顔を知られていないはずの)雫に接触させてみる事にした。
新聞に小さな記事が出た事があるので、それを利用し《野球について色々教えて下さい》と持ちかけてみたら、すんなり上手くいったらしい。

雫『後は・・・穴場みたいな店を教えてもらった』
サオリ『・・・何ていう店?』
雫『えっと・・・』

《例の店》ではないようだ。
ひとまず安心した。
(性癖の事もあり)正直迷ったが、今のところ何かされた様子は見られない。

サオリ『どうだった?』
雫『うん、凄く美味しかった。この前も一緒にそこ行ったよ』

そればかりか、以前よりも生き生きしてきたようにすら見える。
とはいえ、あのユリだ。
少しでも雫に変な兆候が見られたら、考え直さないといけない。

サオリ『そう・・・今度連れてって』
雫『うん』

ユリに接触させているのには、実はもう一つ理由があった。
私自身、そっちの方が気になっている。
8 / 12
26/30ページ