サオリ『おっそーい！』
ユリ『ゴメーン！』

ようやくユリが現れた。
時計を確認してみる。

サオリ『２時間って何よ、２時間って』
ユリ『えっと、色々あって・・・あ、私もブレンドで』

自分の分のお代わりも注文した。
これで５杯目だ。
駅を挟んで真向かいにある系列店にしておけば良かったと、今更ながら後悔した。

サオリ『色々？』
ユリ『サイン貰うのに時間かかっちゃって。ほら』

弁当のオマケのカードを出してきた。
両方とも直筆のサインが書かれている。

サオリ『でも、そこまでかかる？』
ユリ『うん。凄い人気だったのもあるんだけど、一人で10枚も貰う人とかいて』
サオリ『絶対に転売目的でしょ、それ』

それでも、２時間(徒歩時分含む)かかるなんて有り得ない。

ユリ『ずっと選手に話し掛けてる人とか』
サオリ『気持ちは分からなくもないけど、並んでる人の事は考えてほしいわね』
ユリ『後は、選手に自分の使ったリップクリームを塗ろうとする人とか？』
サオリ『・・・普通に犯罪だから』

おそらく、個人的にアドバイスでも貰っていたのだろう。
もちろん、列が全て捌けた後に。
5 / 9