姉妹(???)

サオリ『明日、やっぱ混むかな?』
ユリ『多少はね。ギリギリでも一応座れるとは思うけど』
サオリ『試合は1時からでしょ。30分位前に着けば大丈夫?』

明日は、ユリと女子リーグの開幕戦を観に行く事になっている。
とりあえず、天気は良さそうだ。

ユリ『えっと、それなんだけど・・・2時間位前には着くように行こうと思ってるの』
サオリ『ちょっと余裕持ち過ぎじゃない?練習中の写真撮ったりするの?』
ユリ『勿論それもあるんだけど、今年から一部の試合で選手がプロデュースした弁当を数量限定で売り出す事になってて』
サオリ『どれどれ・・・あ、本当だ。明日は《西条美月弁当》と《田崎羽入弁当》・・・』

どちらも、チーム(といって二つしかないが)の看板選手だ。
西条美月(さいじょうみつき)選手は140kmを超える直球を記録した事もある、本格派のピッチャーだ。
一方、田崎羽入(たざきはいる)選手は丁寧な技術と高い野球センスが魅力の外野手だ。
西条選手は男女共に人気があり、田崎選手の方は男性から非常に高い人気があるらしい。
襲われるなら前者、襲うなら後者と言っていたのはあえて聞こえないフリをした。

ユリ『限定品のカードが貰えるんだよー』
サオリ『・・・私とユリで、それぞれ別のを買うと』
ユリ『もっちろん!そして、後でサインしてもらうの』

数年前から始まった、女子選手のみで構成される野球の独立リーグ。
2チームしかないものの、恵まれた練習環境で年々レベルが上がっていると聞いた。
試合の前後に様々なイベントを開催する等ファンサービスにも力を入れており、他の独立リーグと比べるとそれなりの観客動員を記録しているらしい。

サオリ『なるほどね・・・』
ユリ『イヤーブックにもサインして貰いたいけど・・・ま、それは夏休みの時で良いかな。他の選手のも集めたいし』
サオリ『最初の頃はやってなかったんでしょ?』
ユリ『うん。親会社の社長さんの意向で始めたって話だよ』

去年のイヤーブックを見せて貰う。
選手の紹介と簡単なプロフィールが載っており、ほとんどのページにサインがしてあった。

サオリ『この人でしょ?プロ入りしたの』
ユリ『うん。凄いよねー』

去年のドラフトで、女子リーグから初のNPBに指名された選手が誕生した。
萱島楠葉(かやしまくすは)というピッチャーで、潜在能力を発揮すれば一気にブレイクするだろうと書かれていた。
彼女は、橘みずき選手のいるキャットハンズに指名された。

ユリ『元々評価は高かったんだけど、毎年そこそこの成績しか残せてなくて』
サオリ『去年の最多勝でしょ?』
ユリ『うん。インタビューが載るみたい』
サオリ『大丈夫なの?』
ユリ『誌面だし、編集するでしょ』
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