姉妹(???)

サオリ『きゃあっ!?』

何者かに胸をわしづかみにされた。
いや・・・こんな事をするのは一人しかいない。
そういえば、昨日から帰省していた。

サオリ『もう!あっち行って!!』

お湯をかける。
これだけで行ってくれる訳が無い。
結局、自分が端の方へ移動するハメになる。

??『そっち行っていいー?』
サオリ『ダメー!』
??『ケチー!』

我が家の浴室は広い。
何人もが同時に身体を洗う事ができ、浴槽も大きい。
大浴場と称するのが相応しいだろう。

サオリ『って、ユリ!泳いでこっち来ないでよ!!』
ユリ『・・・ぷはっ!だって、久しぶりなんだもーん。泳ぎたくならない?』
サオリ『ならないわよっ!そんなに泳ぎたかったら、プールで泳げば?』

顔を拭っているのは、妹の三国由利(みくにゆり)。
ここから少し離れた所にある高校に通っているので、まとまった休みの時にしか帰って来ない。

ユリ『じゃあ、今度一緒に泳ご?』
サオリ『まあ、良いけど・・・』

とか何とか言いながら、身を寄せてきた。
触ってこようとしたのを、上手くガードする。

ユリ『前にあげた水着、着て見せてよ』
サオリ『前に?・・・って、あんなの着る訳無いでしょ!何考えてるのよ!!』
ユリ『私は似合うと思うけど?』
サオリ『それ以前の問題でしょ!万が一誰かに見られたら一大事になるわよ!!』

以前、ユリから水着が送られてきた事がある。
とりあえず一度部屋で着て、即座にタンスの奥に押し込んだ。
布の面積が異様に小さい時点で嫌な予感はしていた。
そして実際に着用した自分の姿を鏡で見て、絶対に人前(特に男性の前)で着るべきではないと判断した。

ユリ『大丈夫だって。ウチの人達しか来ないから』
サオリ『余計問題になるでしょ!』
ユリ『せっかく、先生が合宿で着たのと同じようなの探したのにな~・・・』
サオリ『先生?』
ユリ『ほら、野球部の・・・』
サオリ『ああ、元プロの藤乃・・・なつき監督だっけ?』

少し前に、ユリの通う恋恋高校に見学に行った。
雫の件もあるので、女子も入部できる野球部がある高校に進学したいと思っている。
それでいて、設備の整っている所に限定すると幾つかの選択肢に絞られる。

ユリ『うん。私達は《先生》って呼んでる』
サオリ『で、監督じゃなくて先生が着たって・・・まさか本当に?』

当然、ユリが通っている恋恋高校も候補の一つだ。
一年で引退したとはいえ、元プロでしかも女性の監督がいる事は雫にとっても大きな安心材料になる事は間違いない。

ユリ『凄かったよ~。胸もそうだけど、お尻の方もほとんどそのまんま』
サオリ『・・・』
ユリ『何も着てないのと同じ・・・いや、何も着てないよりエロいね、アレは』
サオリ『・・・』

まさか、私以外にアレを着た人がいたとは。
去年の恋恋高校の合宿は、例の島でやっているはずだ。
元々幾つかあった球場の内の一つを専用球場として改修し、人工の砂浜まで造ったらしい。

ユリ『遅刻しそうになって、慌てて詰め込んだのがアレだったんだって』
サオリ『大丈夫だったの?』

・・・色々な意味で。

ユリ『プライベートビーチだから、私達以外はいなかったけど・・・』
サオリ『ユリとマネージャー以外は男子ばっかりでしょ?』
ユリ『うん、みんな大変だったみたい。先生もオッ●イ大きいからねー・・・エイッ♪』
サオリ『きゃっ?・・・もう!』

・・・まさかあの監督にそんな趣味があったとは。
卒業までもう一年あるので、他も検討してみた方が良いかもしれない。
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