キャンプイン(栗橋)

栗橋『ダメだね・・・』
矢部『出直すでやんす・・・』

お目当ての萱島さんの所に辿り着いたが、報道陣に囲まれている為に話し掛けるどころではない。
近付くのも困難だ。

栗橋『想像以上だね・・・』
矢部『少しはオイラの所にも来てほしいでやんす・・・』

今日はみずき先輩がいない。
その分のマスコミも、同じ女子選手である萱島さんへと集中するのだろう。

矢部『一旦撤退して、作戦を練り直すでやんす』
栗橋『ラジャー』

練習もせずにオレ達は一体何をやっているんだと思ったが、どうも昨日のみずき先輩のオレに対しての態度が気にかかる。

普段の傍若無人な態度からは想像もつかない程、切羽詰まっているような感じだった。
何かあったらすぐに知らせてほしいとも言っていた。
過去に何かあったのだろうか?

矢部『今日のスケジュールでやんす』
栗橋『えっと、この後は・・・』

オレ達のではない。
萱島さんのスケジュールだ。
昨日、みずき先輩に渡された。

栗橋『思うに、ここら辺がチャンスじゃないかと・・・』
矢部『なるほどでやんす。さすが栗橋君でやんす』
栗橋『バッティングの方は、チャンスだと全く打てないんだけどね・・・』
矢部『それはオイラもでやんす』

どっちみち、今日は練習にならないだろう。
下手に焦っても空回りするだけ・・・オレが5年間で得た教訓だ。

だったら今日は、みずき先輩の為に動く事にしよう。
そしてしっかり休養をとり、明日から頑張ろう。
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