キャンプイン(栗橋)

栗橋『ちょっと失礼します』
みずき『行ってらっしゃ~い』
矢部『やんす~』

席を立ち、お手洗いに向かう。
その帰りだった。

??『あの、すみません・・・キャットハンズの栗橋選手ですか?』

大学生くらいの女の子に話しかけられた。
清楚な白い服に、茶色の長い髪が良く似合っている。

栗橋『はい、そうですけど・・・』
??『良かった~!あ、ちょっと待ってて下さい』

女の子は大急ぎで自分の席に戻る。
二人で来ていたようで、ツインテールの女の子もこちらを見ていた。
地元の娘達だろうか?

??『あの・・・こちらにお願いします』
栗橋『分かりました』

女の子は色紙とマジックを持ってきた。
サインを書く。

栗橋『お名前は、どうしますか?』
??『あの・・・サオリで・・・。えっと、漢字は・・・私の携帯、持って来てー!』

連れの女の子が携帯電話を持ってくる。
画面を見せてもらう。
《沙織》と書くらしい。

サオリ『ありがとうございます!・・・写真も大丈夫ですか?』
栗橋『あ、はい・・・』

連れの女の子がデジタルカメラを起動させる。
沙織と名乗った女の子は、オレの隣に立つと腕を絡ませてきた。
長い髪から良い香りがしてくる。

??『撮りますよー。はい』
栗橋『・・・』

ツインテールの娘の『はい』と声がした瞬間、柔らかい感触がおもいっきり押し付けられた。
動揺を隠す為、ちょっと固い表情になってしまう。

サオリ『嬉しいです!本当にありがとうございました!!』
栗橋『あ、どうも・・・』

沙織と名乗った娘は、両手でオレの手を握る。
さっきの事があり、どうしても視線が下の方に向いてしまう。

一見、清楚そうに見える服だったが、胸元がしっかりと開いており谷間が覗いていた。
見ろと言わんばかりに。
・・・完全にこの娘の思うツボだった。

??『サオリ、そろそろ・・・』
サオリ『あ・・・そうね。栗橋さん、本当にありがとうございました!』

もう一度オレの手を握る。
・・・できるだけ、下を見ないように努めた。

二人はオレにお辞儀をして、会計もせずに店を出ていった。
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