言葉が無理なら行動で
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近所で豪邸と噂になっている、豊臣秀吉宅の屋敷。
その屋敷に、人目を避ける様にして荷物片手に忍び込む者がいる。
屋敷の住人から見れば直ぐに石田三成と分かるのだが、端から見ればどう見ても怪しい人物と、見間違えてしまいそうだ。
三成は屋敷への門辺りで、やけにキョロキョロと周りを見渡していた。
そして己の中で大丈夫だと判断し、玄関の扉を開こうとした。
『ガラッ』
「!?」
己の手で開こうとした玄関の扉が、独りでに開く。
三成には珍しく、焦りと驚愕の表情を現していた。
「おや?三成くんじゃないか。おかえり」
「は、半兵衛様!只今戻りました!!」
扉を開いた本人は三成の尊敬する人物、竹中半兵衛であった。
「随分とびっくりしてたみたいだけど…どうしたの?」
「い…いえ。半兵衛様がお気にする必要はありません」
「必要ないって言われてもね…気になっちゃうんだよ。その荷物を見る限り」
半兵衛の出現で土下座同然の挨拶をした、三成の隣には子供一人の大きさをした荷物が。
「申し訳ありません!直ぐにでも半兵衛様の視界から消し去ります!!」
「いや大丈夫だよ。見た所…晴雅へのプレゼントかい?」
「…っ!?」
晴雅と音が耳に届いた瞬間、三成の顔は真っ赤に染まってしまった。
常人に比べれば、白い肌を持つ三成が真っ赤になれば、まるで化粧をしたぐらいに赤く見える。
「成程ね…確か今日は大谷くんの付き添いで動物園に行った訳だ。でも晴雅は用事のお陰で行けなかった。だからその為にと」
「…その通りです」
軽く項垂れた三成に半兵衛が色々と問いかけた。
ふ~ん、と頷いて半兵衛は三成の隣に鎮座する荷物―要はプレゼント―をまじまじと見つめて興味津々の様だ。
「あ…あの半兵衛様」
「何だい?」
「この件、晴雅には黙って貰えますか…?」
「晴雅に?ああ、驚かせたいんだね三成くんは」
おずおず半兵衛に頼み込む三成。
それだけで半兵衛は三成の考えを察したのだった。
「良いよ晴雅には黙っておく。念の為、秀吉にも伝えておくから」
「ありがとうございます!」
また土下座も同然の礼をした三成は、半兵衛に土産の茶菓子を渡した
その後、秀吉にも土産の茶菓子(おそらく土産の中で一番、高級品)を渡して、晴雅へのプレゼントの件を話す。
「ああ半兵衛から聞いている。晴雅には全て黙っていれば良いのだな」
「はい!その通りでございます!!」
畳の座敷部屋でも相変わらず、三成は礼を土下座で伝えた。
「三成、何度もそこまでしなくても良いぞ?」
「いえ!秀吉様の為ならばこれぐらい…!」
「いや、お前の額が少し赤くなっているからな…薬でも塗るべきだ」
「も…勿体無き御言葉…!!!」
屋敷外でも座敷でも土下座をしまくった三成の額は、擦れて赤く染まっていた。
それに気付いた秀吉が薬を塗ってやろうとすると、三成はまさに狂喜乱舞な状態になった。
秀吉直々に治癒して貰い、三成はそのまま喜びの余り気絶しそうだったそうだ(証言、豊臣秀吉より)
「ただいま~」
「おかえり晴雅」
「ただいま帰りました半兵衛様」
一方その頃、晴雅が用事先から帰宅し半兵衛が迎えていた。
「あれ?三成と秀吉様は?」
「二人でちょっとお喋りしてるよ」
「へぇ、またなんですね」
「確かに…今日で八回目だ」
二人で秀吉と三成のお喋り(只のお喋りとは言い切れないが)に軽く驚きつつも、玄関から居間へ移動する。
「そう言えば御両親は元気だったかい?久し振りに会えたんだろう?」
「はい!元気でした。占いの仕事も上々で」
「それは良かった!流石は晴雅のお母さんだね。晴雅もきっと立派な占い師になりそうだ」
「え…そんな、私なんかがお母さんみたいになんて…」
「大丈夫だよ。晴雅なら出来るさ」
謙遜する晴雅を半兵衛は優しく笑いかけながら、頭を撫でてくれた
「半兵衛様!晴雅が戻って来たのですか!?」
「そう慌てなくても大丈夫だよ三成くん」
晴雅が手洗いうがいの為に洗面所へ向かった中、秀吉と共にかなり慌てた三成が現れた。
本日の三成は、実に三成らしくない。
秀吉と半兵衛はそう思った。
「あー三成。やっと見つけたー」
「!!」
洗面所から出てきた晴雅は背後から三成に声をかける。
それに三成は一瞬、体を震わせてぎこちなく晴雅に振り向いた。
「確かに今日、刑部さんと神子さん達で動物園に行ったんだっけ?いいなぁ三成…」
動物園と聞いてまた体を震わせた三成だが、半兵衛が会話に入ってきた。
「動物園ならまた今度、皆で行けば良いさ。それに御両親には顔を見せて安心させてあげないと、駄目だろう?」
「はーい。でも、神子さんに会いたかった…」
「ならばいずれ我が伝えよう。大谷にも伝えておくが良いな」
「ありがとうございます秀吉様。そうだ!忘れていました、母から秀吉様達へ桃を貰って来ましたよ!!」
「うむ。なかなかの桃だな」
「今日の晩御飯にでも出そうか」
「やったー!流石、半兵衛様!!晩御飯が楽しみだなー…ね、三成」
「!…確かにそうだが…お前の様にはしゃぐまでもない」
「そう言いつつも、本当は半兵衛様の晩御飯、楽しみなんでしょ?」
「………」
(やっぱりね)
スラッと言ってみれば、図星の様で三成は黙った。
最初から分かっていた晴雅は、やれやれと笑っていた
「三成…私何か三成にした?」
「………」
半兵衛が作った晩御飯を秀吉、三成と共に食べる晴雅だが、どうも食べずらかった。
何故か三成がやけに無口で、晴雅が何を言っても聞いても、沈黙を決め込んでいるのだ。
「もーこれじゃあ折角の晩御飯が楽しくないよ…」
「大丈夫だよ晴雅、元気出して」
「晴雅、半兵衛が切った桃だ。食すが良い」
「良いんですか!?秀吉様ありがとうございます!」
三成が黙り込む事情を知る秀吉と半兵衛は、晴雅を慰める為にいつもより積極的に話していた。
秀吉から少しばかり大きい桃のひと切れを半分貰い、晴雅は嬉しそうに笑う。
それを横目で見ていた三成は、少しばかり不機嫌に見えた。
「う~ん、半分でもまだ大きいなぁ…三成も食べる?」
「!?晴雅、貴様!秀吉様から頂いたお品をありがたく一人で食わぬのか!?」
「そりゃあ秀吉様に貰ったのも嬉しいけど、三成と分けて食べるのも嬉しいんだもの」
「………」
半分にした桃を再び割り、晴雅は三成に手渡す。
「うん、甘くて美味しい!三成も食べてみなよ」
桃を美味しそうに頬張りながら促す晴雅に三成はおずおずと口にする。
桃特有の甘さが口に広がる。
「美味しい?」
「………美味い」
「でしょ?良かった、三成も食べれて」
三成は余り茶菓子など、甘いものを食べない。
しかし三成当人は甘いものが嫌いではなく、ただ興味がないだけである。
それを知る晴雅は少し不安だったが、三成も桃を頬張ったのを見てホッとした
晩御飯を終えて皆風呂にも入り、そろそろ床につく頃になった。
「…晴雅は…己の部屋に居るな」
ついにプレゼントを晴雅に渡す作戦(いや作戦て…)を決行しようと、三成は自室から荷物を取り出す。
「落ち着いて行くんだよ三成くん。まぁ君なら大丈夫だけど」
「ありがとうございます…」
「お前ならば支障もないだろう。大丈夫だ」
「ありがたき御言葉…」
二人から激励を受け、三成は晴雅の部屋へと向かった。
「確かに面白いなぁ天体って。月もそうだし、刑部さんから借りて良かった」
友人である大谷から借りた天体の本を、部屋の真ん中で横になりながら読んでいる晴雅。
「次は…あ、土星だ。何か見た事あるんだよね、このフラフープみたいな輪」
うーん…と首を捻っていると、扉を叩く音がする。
「はーい、誰?」
「……私だが」
「三成?入っちゃって良いよ」
晴雅の許可が出て三成は直ぐに扉を開いた。
「どうしたの三成?何か本でも読みたい?」
「本など、どうでも良い」
扉に立ち尽くす三成に疑問を抱きながらも、晴雅は質問を問いかけるが返ってきたのは予想した言葉。
「…貴様に渡すものがある、ありがたく思え」
「え?渡すもの?…」
どこか早口で放たれた言葉を難なく聞き取った晴雅は、キョトンとした表情になる。
そんな晴雅を余所に三成は例のプレゼントを持って部屋に入る。
「え…え…?何…プレゼント、なの?」
安易には信じられないのか、晴雅は困惑した様に呟き出した。
それも無視して三成は押し付けるかの如く晴雅に渡した。
「ぶっ…な、何だろう」
力加減も無しに押し付けられたので、プレゼントが顔に埋もれる。
その感触は決して固くなく、柔らかく感じた。
「?」
ますます疑問が浮かんできて、晴雅はプレゼントの封を開く。
袋から現れたのは、ツキノワグマを模したぬいぐるみだった。
「ツキノワグマだ!可愛いー!!私ツキノワグマ大好き!」
すぐさまぬいぐるみのツキノワグマを腕に抱いて、晴雅がはしゃぎ出す。
「気に入ったか」
「うん!凄く。大事にするね、ありがとう三成」
「………っ」
心から嬉しそうに晴雅から笑いかけられ、三成はまたしても真っ赤に染まった。
「そうだ!私もプレゼントしてあげるよ」
「お前が…?」
「何その別に要らないって顔」
「貴様…やけに口が偉そうだな」
「本当は欲しいくせに…ま、無理にでもあげるけど」
「……!!!」
ギラリと眼光を効かせた目で晴雅を見下ろす三成だが、次の瞬間に目を見開いた。
晴雅の手が己の肩に置かれた気がしたと思えば、鼻柱に唇が触れる。
「…ちゃんとしたプレゼントも、後であげるからね」
ニッコリと微笑む晴雅に三成は只、見とれて顔が熱くなるのを感じた
,
その屋敷に、人目を避ける様にして荷物片手に忍び込む者がいる。
屋敷の住人から見れば直ぐに石田三成と分かるのだが、端から見ればどう見ても怪しい人物と、見間違えてしまいそうだ。
三成は屋敷への門辺りで、やけにキョロキョロと周りを見渡していた。
そして己の中で大丈夫だと判断し、玄関の扉を開こうとした。
『ガラッ』
「!?」
己の手で開こうとした玄関の扉が、独りでに開く。
三成には珍しく、焦りと驚愕の表情を現していた。
「おや?三成くんじゃないか。おかえり」
「は、半兵衛様!只今戻りました!!」
扉を開いた本人は三成の尊敬する人物、竹中半兵衛であった。
「随分とびっくりしてたみたいだけど…どうしたの?」
「い…いえ。半兵衛様がお気にする必要はありません」
「必要ないって言われてもね…気になっちゃうんだよ。その荷物を見る限り」
半兵衛の出現で土下座同然の挨拶をした、三成の隣には子供一人の大きさをした荷物が。
「申し訳ありません!直ぐにでも半兵衛様の視界から消し去ります!!」
「いや大丈夫だよ。見た所…晴雅へのプレゼントかい?」
「…っ!?」
晴雅と音が耳に届いた瞬間、三成の顔は真っ赤に染まってしまった。
常人に比べれば、白い肌を持つ三成が真っ赤になれば、まるで化粧をしたぐらいに赤く見える。
「成程ね…確か今日は大谷くんの付き添いで動物園に行った訳だ。でも晴雅は用事のお陰で行けなかった。だからその為にと」
「…その通りです」
軽く項垂れた三成に半兵衛が色々と問いかけた。
ふ~ん、と頷いて半兵衛は三成の隣に鎮座する荷物―要はプレゼント―をまじまじと見つめて興味津々の様だ。
「あ…あの半兵衛様」
「何だい?」
「この件、晴雅には黙って貰えますか…?」
「晴雅に?ああ、驚かせたいんだね三成くんは」
おずおず半兵衛に頼み込む三成。
それだけで半兵衛は三成の考えを察したのだった。
「良いよ晴雅には黙っておく。念の為、秀吉にも伝えておくから」
「ありがとうございます!」
また土下座も同然の礼をした三成は、半兵衛に土産の茶菓子を渡した
その後、秀吉にも土産の茶菓子(おそらく土産の中で一番、高級品)を渡して、晴雅へのプレゼントの件を話す。
「ああ半兵衛から聞いている。晴雅には全て黙っていれば良いのだな」
「はい!その通りでございます!!」
畳の座敷部屋でも相変わらず、三成は礼を土下座で伝えた。
「三成、何度もそこまでしなくても良いぞ?」
「いえ!秀吉様の為ならばこれぐらい…!」
「いや、お前の額が少し赤くなっているからな…薬でも塗るべきだ」
「も…勿体無き御言葉…!!!」
屋敷外でも座敷でも土下座をしまくった三成の額は、擦れて赤く染まっていた。
それに気付いた秀吉が薬を塗ってやろうとすると、三成はまさに狂喜乱舞な状態になった。
秀吉直々に治癒して貰い、三成はそのまま喜びの余り気絶しそうだったそうだ(証言、豊臣秀吉より)
「ただいま~」
「おかえり晴雅」
「ただいま帰りました半兵衛様」
一方その頃、晴雅が用事先から帰宅し半兵衛が迎えていた。
「あれ?三成と秀吉様は?」
「二人でちょっとお喋りしてるよ」
「へぇ、またなんですね」
「確かに…今日で八回目だ」
二人で秀吉と三成のお喋り(只のお喋りとは言い切れないが)に軽く驚きつつも、玄関から居間へ移動する。
「そう言えば御両親は元気だったかい?久し振りに会えたんだろう?」
「はい!元気でした。占いの仕事も上々で」
「それは良かった!流石は晴雅のお母さんだね。晴雅もきっと立派な占い師になりそうだ」
「え…そんな、私なんかがお母さんみたいになんて…」
「大丈夫だよ。晴雅なら出来るさ」
謙遜する晴雅を半兵衛は優しく笑いかけながら、頭を撫でてくれた
「半兵衛様!晴雅が戻って来たのですか!?」
「そう慌てなくても大丈夫だよ三成くん」
晴雅が手洗いうがいの為に洗面所へ向かった中、秀吉と共にかなり慌てた三成が現れた。
本日の三成は、実に三成らしくない。
秀吉と半兵衛はそう思った。
「あー三成。やっと見つけたー」
「!!」
洗面所から出てきた晴雅は背後から三成に声をかける。
それに三成は一瞬、体を震わせてぎこちなく晴雅に振り向いた。
「確かに今日、刑部さんと神子さん達で動物園に行ったんだっけ?いいなぁ三成…」
動物園と聞いてまた体を震わせた三成だが、半兵衛が会話に入ってきた。
「動物園ならまた今度、皆で行けば良いさ。それに御両親には顔を見せて安心させてあげないと、駄目だろう?」
「はーい。でも、神子さんに会いたかった…」
「ならばいずれ我が伝えよう。大谷にも伝えておくが良いな」
「ありがとうございます秀吉様。そうだ!忘れていました、母から秀吉様達へ桃を貰って来ましたよ!!」
「うむ。なかなかの桃だな」
「今日の晩御飯にでも出そうか」
「やったー!流石、半兵衛様!!晩御飯が楽しみだなー…ね、三成」
「!…確かにそうだが…お前の様にはしゃぐまでもない」
「そう言いつつも、本当は半兵衛様の晩御飯、楽しみなんでしょ?」
「………」
(やっぱりね)
スラッと言ってみれば、図星の様で三成は黙った。
最初から分かっていた晴雅は、やれやれと笑っていた
「三成…私何か三成にした?」
「………」
半兵衛が作った晩御飯を秀吉、三成と共に食べる晴雅だが、どうも食べずらかった。
何故か三成がやけに無口で、晴雅が何を言っても聞いても、沈黙を決め込んでいるのだ。
「もーこれじゃあ折角の晩御飯が楽しくないよ…」
「大丈夫だよ晴雅、元気出して」
「晴雅、半兵衛が切った桃だ。食すが良い」
「良いんですか!?秀吉様ありがとうございます!」
三成が黙り込む事情を知る秀吉と半兵衛は、晴雅を慰める為にいつもより積極的に話していた。
秀吉から少しばかり大きい桃のひと切れを半分貰い、晴雅は嬉しそうに笑う。
それを横目で見ていた三成は、少しばかり不機嫌に見えた。
「う~ん、半分でもまだ大きいなぁ…三成も食べる?」
「!?晴雅、貴様!秀吉様から頂いたお品をありがたく一人で食わぬのか!?」
「そりゃあ秀吉様に貰ったのも嬉しいけど、三成と分けて食べるのも嬉しいんだもの」
「………」
半分にした桃を再び割り、晴雅は三成に手渡す。
「うん、甘くて美味しい!三成も食べてみなよ」
桃を美味しそうに頬張りながら促す晴雅に三成はおずおずと口にする。
桃特有の甘さが口に広がる。
「美味しい?」
「………美味い」
「でしょ?良かった、三成も食べれて」
三成は余り茶菓子など、甘いものを食べない。
しかし三成当人は甘いものが嫌いではなく、ただ興味がないだけである。
それを知る晴雅は少し不安だったが、三成も桃を頬張ったのを見てホッとした
晩御飯を終えて皆風呂にも入り、そろそろ床につく頃になった。
「…晴雅は…己の部屋に居るな」
ついにプレゼントを晴雅に渡す作戦(いや作戦て…)を決行しようと、三成は自室から荷物を取り出す。
「落ち着いて行くんだよ三成くん。まぁ君なら大丈夫だけど」
「ありがとうございます…」
「お前ならば支障もないだろう。大丈夫だ」
「ありがたき御言葉…」
二人から激励を受け、三成は晴雅の部屋へと向かった。
「確かに面白いなぁ天体って。月もそうだし、刑部さんから借りて良かった」
友人である大谷から借りた天体の本を、部屋の真ん中で横になりながら読んでいる晴雅。
「次は…あ、土星だ。何か見た事あるんだよね、このフラフープみたいな輪」
うーん…と首を捻っていると、扉を叩く音がする。
「はーい、誰?」
「……私だが」
「三成?入っちゃって良いよ」
晴雅の許可が出て三成は直ぐに扉を開いた。
「どうしたの三成?何か本でも読みたい?」
「本など、どうでも良い」
扉に立ち尽くす三成に疑問を抱きながらも、晴雅は質問を問いかけるが返ってきたのは予想した言葉。
「…貴様に渡すものがある、ありがたく思え」
「え?渡すもの?…」
どこか早口で放たれた言葉を難なく聞き取った晴雅は、キョトンとした表情になる。
そんな晴雅を余所に三成は例のプレゼントを持って部屋に入る。
「え…え…?何…プレゼント、なの?」
安易には信じられないのか、晴雅は困惑した様に呟き出した。
それも無視して三成は押し付けるかの如く晴雅に渡した。
「ぶっ…な、何だろう」
力加減も無しに押し付けられたので、プレゼントが顔に埋もれる。
その感触は決して固くなく、柔らかく感じた。
「?」
ますます疑問が浮かんできて、晴雅はプレゼントの封を開く。
袋から現れたのは、ツキノワグマを模したぬいぐるみだった。
「ツキノワグマだ!可愛いー!!私ツキノワグマ大好き!」
すぐさまぬいぐるみのツキノワグマを腕に抱いて、晴雅がはしゃぎ出す。
「気に入ったか」
「うん!凄く。大事にするね、ありがとう三成」
「………っ」
心から嬉しそうに晴雅から笑いかけられ、三成はまたしても真っ赤に染まった。
「そうだ!私もプレゼントしてあげるよ」
「お前が…?」
「何その別に要らないって顔」
「貴様…やけに口が偉そうだな」
「本当は欲しいくせに…ま、無理にでもあげるけど」
「……!!!」
ギラリと眼光を効かせた目で晴雅を見下ろす三成だが、次の瞬間に目を見開いた。
晴雅の手が己の肩に置かれた気がしたと思えば、鼻柱に唇が触れる。
「…ちゃんとしたプレゼントも、後であげるからね」
ニッコリと微笑む晴雅に三成は只、見とれて顔が熱くなるのを感じた
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